痩せていても注意!?睡眠時無呼吸症候群の原因と症状

痩せていても注意!?睡眠時無呼吸症候群の原因と症状

この記事の監修ドクター|野島 大輔先生(さがみ野内科・呼吸器クリニック)

中年の太った男性に多いというイメージが強い睡眠時無呼吸症候群ですが、実はそうとは限らないのです。

こんな症状はありませんか?

目覚し時計と女性

睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸が10秒ほど止まり、これが複数回起こる病気です。寝ている間に起こる症状なので自覚しにくく、発見が遅れがちです。休息時間である睡眠中に呼吸が止まるので、脳や体は酸欠状態になります。また、対応するため脈拍数を上げるなどするので休めず、目覚めてもしっかり寝たという自覚が得られません。

他にも、朝目覚めた時に、頭痛や口が渇いている、だるさや倦怠感が強いなどが起こります。日中は強い眠気に襲われることも多く、集中力を欠きがちになります。このため、交通事故や労働災害のリスクが高まり、危険な病気です。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、いびきが大きいことも多く、その大きないびきが突然止まることで、家族が気づき受診につながることが多く見られます。睡眠中の症状としては、息苦しくなる他に、何度もトイレに起きてしまう、寝汗をかくなどもあります。

睡眠時無呼吸症候群は肥満でなくともかかります

眠そうな女性

睡眠時無呼吸症候群は、男性に多い病気です。女性1に対して、男性は2~3倍で発症しています。女性は全体として男性よりも発症数が少ないですが、更年期を過ぎるとそれまでの3倍に増えるという報告もありますので、女性でも注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群は、30~60代の年齢に発症が多い病気です。この年代は体形変化や生活習慣病の発症も多い年代です。

睡眠時無呼吸症候群は、上気道と呼ばれる鼻からのどの部位で、空気の通り道がふさがり、呼吸が止まってしまう病気です。このため、肥満の男性に多い病気とのイメージを持ちがちですが、実はそうとは限りません。

欧米における睡眠時無呼吸症候群の患者さんは肥満を原因としている人がほとんどですが、日本人の睡眠時無呼吸症候群患者さんで肥満が原因である人は7割ほどです。つまり、3割ほどの患者さんの原因は肥満ではないのです。

睡眠時無呼吸症候群のメカニズムとは

睡眠時無呼吸症候群は上気道の閉塞が原因です

上気道とは呼吸器の部分のことで、鼻から鼻腔を通って喉頭までの部位を指します。この部位の中で閉塞してしまい、睡眠時無呼吸症候群は起こります。上気道がふさがってしまう原因はさまざまで、首回りの脂肪がついているからというのは、原因の1つに過ぎません。

上気道の閉塞はこんな原因で起こります

①肥満で気道周辺の脂肪が多い
肥満で、首回りに脂肪がついており、上気道を圧迫して閉塞が起こります。
②扁桃腺肥大
扁桃腺とは口を大きく開けて、のどちんこの両脇に見える膨らみを指します。風邪をひいたときなどに赤くはれる部位です。上気道に張り出しているため、これが平均よりも大きいと上気道がふさがりやすくなります。
③舌が大きい
舌はのどの上に張り出しており、仰向けに寝転んだ際も筋肉に支えられて、喉に落ち込んでいかないようになっています。しかし、眠っている間に筋肉の働きが弱くなり、喉が狭くなるといびきをかきます。さらに舌が落ち込むと上気道がふさがれて呼吸が止まります。
④鼻の病気
鼻も呼吸の際に空気の通り道となります。風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻詰まりが起こっていると上気道がふさがりやすくなり、睡眠時無呼吸症候群のリスクも高まります。
⑤あごの異常
あごが引いている人、あごの小さい人は、その分上気道が狭くなり、睡眠時無呼吸症候群が起こりやすくなります。日本人は民族的な特徴として、もともと上気道が狭くなっています。このため、あごが引き気味、あるいは小さめの人は、睡眠時無呼吸症候群になりやすいのです。

睡眠時無呼吸症候群は誰でもかかる病気です

考える女性

睡眠時無呼吸症候群は、実は子どもから高齢者まで、男性でも女性でもかかる可能性のある病気です。自分は女性だから大丈夫、若いからかからない、痩せているから大丈夫などと考えず、気になる症状があるとき、家族から気になる指摘を受けた時は、早めの受診を心がけましょう。