大腸ポリープの種類によっては悪性腫瘍(がん)化するものもある?

大腸ポリープの種類によっては悪性腫瘍(がん)化するものもある?

この記事の監修ドクター|寒河江 三太郎先生(厚木胃腸科医院)

大腸ポリープは種類がさまざまで、がんになるものとならないものがあります。

大腸ポリープとは

大腸ポリープのイメージ

大腸とは、盲腸、結腸、直腸、肛門の総称です。ポリープとは、消化器の粘膜にできる盛り上がっていぼ状になるできもののことです。大腸ポリープの分類はいくつかありますが、代表的には腫瘍性ポリープ(腺腫など)と言ってがん化しやすいものと、非腫瘍性ポリープと言ってがん化しにくいものに分かれます。

がんになりにくい大腸ポリープとは
(非腫瘍性ポリープ)

若年性ポリープ

子どもや若者に多く発症する大腸ポリープです。盲腸などよりも肛門に近い直腸や結腸にできやすいという特徴があります。便の表面に血液が付いて気づくことが多い病気です。自然脱落で下血して治ってしまうこともありますが、受診の際は大腸内視鏡で検査と治療を行います。大腸内視鏡での切除治療の場合も通院のみで対応できる場合が多く、切除後の再発は少ない病気です。

過形成性ポリープ(化生性ポリープ)

高齢者に多く発症する大腸ポリープです。以前はがん化する危険は低く、切除せずに経過観察となることが多かったポリープですが、近年ある程度以上の大きさのものは、がん化する場合もあるといわれ治療が推奨されています。自覚症状はごくまれに下血することがありますが、特にない場合が多い病気です。

炎症性ポリープ

消化器に炎症を起こすクローン病や、潰瘍性大腸炎による粘膜の炎症が原因でできるポリープです。炎症を起こした部位が治癒の過程で盛り上がってできます。自覚症状はほぼありませんが、炎症の原因となる病気に対して注意が必要です。

がん化しやすいポリープの種類
腫瘍性ポリープ(腺腫)

もともと良性の腫瘍性ポリープですが、数年かけて大きくなる過程でがん化する場合があります。50歳以上の人、大腸がんの家族がいる人、高カロリーの食生活をしている人、肥満の人がなりやすく、アルコールのとり過ぎや喫煙も注意が必要です。

便に血が混じって気づくこともありますが、自覚症状はほとんどなく、便潜血検査陰性の場合でも内視鏡検査で発覚することも多いです。治療は多くの症例で、大腸内視鏡検査で切除し、病理組織検査で確定します。早期の大腸がんは内視鏡検査中に切除することで完治することもできます。そのため2-3年ごとの内視鏡検査をお勧めしています。

大腸ポリープの検査も治療も
大腸内視鏡で行います

大腸内視鏡検査の風景

大腸ポリープの有無は大腸内視鏡検査で調べることがお勧めです。検査中にポリープを発見次第切除し、病理検査と治療を兼ねることができます。切除したポリープは組織を検査して種類を診断し、治療計画を立てます。

自覚症状の少ない大腸ポリープ。
大腸内視鏡の定期検査を

大腸ポリープの自覚症状はほとんどなく、便潜血検査陰性の場合でも内視鏡検査で発覚することも多いです。大腸内視鏡検査はおおむね2-3年ごとに定期検査することで、大腸がんになったとしても早期発見できます。

内視鏡検査に抵抗がある方も、少なくとも健康診断の便潜血検査などで異常を認めたら、迷わず受診して大腸内視鏡検査を受けましょう。