この記事の監修ドクター|北山 大祐先生(きたやま胃腸肛門クリニック)
胃の内視鏡検査でピロリ菌の感染がわかったら除菌治療が受けられます。除菌治療中の生活の注意を見ていきましょう。
ピロリ菌感染は胃内視鏡検査でわかります
感染していると胃がんにかかる確率が、感染していない人に比べて10倍以上になるとされるピロリ菌。感染しているかどうかは、胃内視鏡検査を行うことで調べることができます。
ピロリ菌検査の方法は、血液、便、尿、組織などで調べられます。ただし、保険診療で行うためには条件があります。
胃内視鏡検査は、細いカメラ付きのスコープを、口か鼻から胃へ通して、カメラを通した画像で胃内部を観察する検査です。異常が見つかった場合は、検査中に組織採取や切除などの治療も行える、有用な検査です。
ピロリ菌の除菌は内服薬で行います
胃内視鏡検査の結果、ピロリ菌に感染していると分かった場合、除菌治療が受けられます。
3種類の薬を1週間服用します
ピロリ菌の除菌には、菌を殺して減らしていく抗生剤が2種類と、1種類の胃薬が処方されます。
この3種類の薬を1日に2回ずつ、7日間飲み続けます。
飲み忘れてしまったり、途中で中断してしますと、うまく除菌が行えませんので注意が必要です。
こんな副作用が起こるときもあります
除菌のために処方された薬で副作用が起こることもあります。多い副作用としては、下痢や軟便気味になったり、味覚障害がありますが、いずれも一時的なものですのでご安心ください。
副作用が起きてつらいときは、できるだけ早く医師や薬剤師に相談し、服用を自己判断で中止してしまうのは避けましょう。
除菌中はこんな注意が必要です
- 薬をしっかり飲みましょう
- 薬の飲み忘れをしないようにしましょう。カレンダーや携帯電話のアラーム、家族の声掛けなど活用して、毎日しっかり服用しましょう。先に述べましたが、副作用が起こったら、服用を中止する前に、必ず医師や薬剤師に相談してください。整腸や胃薬の処方などが受けられるときもあります。
- 胃に優しい食事をしましょう
- 香りの強いもの、辛い物などを避け、刺激の少ない胃に優しい食事をしましょう。抗生剤で胃が荒れやすくなっていますし、胃酸の分泌を抑えていますので、消化の良いものを心がけて食べましょう。
- コーヒーは飲まないようにしましょう
- コーヒーは胃酸の分泌を増やす働きがあり、さらにコーヒーに含まれる成分がピロリ菌の除菌を妨げることがあります。胃が弱くなっている除菌治療中にさらに負担をかけるコーヒーは避けましょう。
- 禁煙しましょう
- 除菌治療の成功率が喫煙者と非喫煙者では大きく差が出るという報告もあります。従って、除菌治療中は禁煙するようにしましょう。難しい場合はニコチンガムの助けを借りることも良い方法です。
- 飲酒は避けましょう
- アルコールは胃酸の分泌を増やしてしまいますので、除菌を妨げてしまいます。除菌治療中は飲酒を避けた方が成功率を上げることができます。
- 除菌を助ける食品をとりましょう
- ピロリ菌の除菌を助ける食品として、ヨーグルトの乳酸菌やはちみつ、ココアのポリフェノールや緑茶のカテキンなどが挙げられます。除菌治療の薬の効果を助けるために、積極的にとると良いでしょう。
二次除菌が必要なこともあります
ピロリ菌の除菌治療は、1回目で7.8割が成功するとされますが、2.3割の患者さんが除菌に失敗します。治療後の検査でピロリ菌がまだいることがわかったら二次除菌を行います。
二次除菌を含めた除菌治療の成功率は9割以上。ほとんどの人がピロリ菌を除菌することができるのです。1回目で失敗しても諦めずに、2回目の除菌治療を受けるようにしましょう。
除菌治療を成功させましょう
胃がんにかかる確率が10倍以上になるとされるピロリ菌の感染。まずは胃内視鏡検査を受けて、感染の有無を調べること。次に除菌治療中は生活の注意を守ることが大切です。除菌治療を成功させるために、避けた方が良い生活習慣は我慢しましょう。