この記事の監修ドクター|北山 大祐先生(きたやま胃腸肛門クリニック)
胃内視鏡は経口と経鼻の2つの検査方法があります。どんな違いがあるのでしょうか。
胃の内視鏡検査でわかること
胃内視鏡検査では、以下のような病気を見つけることができます。
- 逆流性食道炎
- 逆流性食道炎は、胃液や胃の中の消化中の食べ物が、食道に逆流して炎症を起こす病気です。胃液や消化中の食べ物は、強い酸性なので、食道を溶かして炎症を起こしてしまうのです。自覚症状は胸やけや痛み、不快感などです。
- 胃炎
- 胃の中で炎症が起きています。原因はストレスや生活習慣、ウイルス性、ピロリ菌などさまざまです。自覚症状は、胸やけや食後の胃痛、不快感や膨満感などです。
- 胃潰瘍
- 胃炎が悪化して胃の壁がえぐられた状態で、出血することもある病気です。強い痛みや吐き気、嘔吐などが起こります。食欲がなくなって体重が減ることもあります。
- 十二指腸潰瘍
- 胃の下の十二指腸で炎症が起こり、十二指腸の壁がえぐれて潰瘍になっていて胃潰瘍と症状は似ています。こちらは空腹の時に強い痛みが起こることが多いですが、自覚症状がないケースもあります。
- 胃ポリープ
- 胃の粘膜に盛り上がってできる病変で、胃炎と並行してできることが多いですが、がん化することは少ないです。自覚症状はない場合が多い病気ですが、ポリープから出血することもあります。胃内視鏡検査時に、ポリープを採取して病理検査することでがんと区別します。
- 胃がん
- 胃の粘膜ががん細胞へと変化して起こります。原因は、繰り返す胃炎や胃潰瘍、ヘリコバクターピロリ菌の感染などです。無症状で進行する場合が多く、胃内視鏡検査が早期発見に有用です。
- 食道がん
- 食道の粘膜ががん細胞に変化して起こる病気です。原因は、過度の飲酒や喫煙、逆流性食道炎などです。自覚症状はない場合が多く、早期発見が難しいがんの1つです。
胃の内視鏡検査は2種類あります
経口内視鏡検査
カメラの付いた、10~15㎜の細いスコープを、口から胃へ通して検査を行います。スコープ先端についたカメラで、食道や胃、十二指腸を観察しながら、病変の採取やポリープの切除を行います。
胃の内部を良く見えるように、検査前の食事制限と、検査直前に胃の泡を取り除く薬を服用し、検査時は胃を空気で膨らませながら行います。このため、鎮痛剤や鎮静剤、咽頭の局所麻酔を使用することもあります。
経鼻内視鏡検査
こちらも同じように、カメラの付いたスコープを使いますが、鼻から胃へ通す点が異なります。また、口よりも狭い鼻を通すため、スコープがさらに細く、5㎜ほどのものを使います。
スコープが下の付け根に触れずに通るため、「おえっ」する反射が起こりにくく、鎮静剤や局所麻酔を減らすことができます。しかし、スコープが細いため、病変の採取やポリープの切除が難しい場合もあります。
内視鏡検査はどうやって選ぶ?
もともと胃内視鏡は経口で行うものが主流でしたが、経鼻内視鏡の技術革新も進み、画像の鮮明さなども同等になっています。しかし、経鼻の場合、腫瘍を切除したり、潰瘍の出血を止めるといった処置を行うことはできません。従って、内視鏡による治療を行う場合は経口内視鏡となっています。
そうはいっても検査時の苦痛の1つである、下の付け根に触れた時の「おえっ」とする反射が、経鼻の場合はほぼ起こらないことは、検査への抵抗感を軽減してくれます。また、口を塞がれないので、検査中に医師との会話も可能です。
定期的な内視鏡検査で病変の有無を確認するという点から考えると、経鼻内視鏡は苦痛がなく、受け入れやすい検査であると考えます。
経鼻内視鏡は、局所麻酔を減らせるため、体の負担も少なく行えますが、鼻腔が狭い人はスコープが通らないため、経口内視鏡で行う必要があります。
自分に合った検査方法で受けましょう
経口内視鏡検査も経鼻内視鏡検査も、どちらも優れた点があります。どの点を重視して選ぶのか、自分に合った検査方法はどちらなのか、 自覚症状や体質など、専門医ともよく相談の上、納得できる検査を受けられると良いですね。胃内視鏡は、内視鏡専門医を受診しましょう。