糖尿病白内障の手術は合併症が心配?

糖尿病白内障の手術は合併症が心配?

この記事の監修ドクター|藤井 里香先生(綾瀬ふじい眼科)

糖尿病に白内障を併発することがあります。症状の進行や治療にどんなリスクが伴うのでしょうか。

糖尿病白内障は進行が速い

家族

糖尿病は、血液中の糖分の濃度を調節するインスリンというホルモンが分泌異常を起こして、分泌量が減るか、分泌されなくなって起こります。インスリンが少ない、あるいは全くないので、血液は異常に多い糖分を含んだ状態(高血糖)になります。多すぎる糖分は血管を傷つけて、血管の老化を早めてしまいます。これが全身で起こり、全身の血管や臓器に負担がかかるのが糖尿病です。

糖尿病による高血糖で、全身の血管に負担がかかり続けますが、特に細い毛細血管への負担は大きいことから、糖尿病の三大合併症として、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害が挙げられます。しかし、糖尿病は全身の老化を促進する病気であることから、白内障もまた、見逃すことのできない合併症です。

白内障は、主に加齢などによって、カメラでいうレンズの役割をしている水晶体が濁っていき、光の透過やピント調整に異常が起こる病気です。見え方や視力の低下がゆっくりと進むのですが、糖尿病患者さんが白内障にかかると、一般的な加齢などによる白内障患者さんよりも、白内障の進行が急激に進みやすいことがわかっています。

糖尿病白内障の治療とは

血糖コントロールが第一

糖尿病の治療で最も重要なことが血糖値コントロールで、食事療法、運動療法、薬物療法すべてが、血液中の糖分量を正常に保つためのものになっています。糖尿病白内障の治療においても、血糖値コントロールは第一に重要で、白内障症状の進行を遅らせるためにも、白内障の根本治療としての手術を安全に行うためにも、血糖値を正常値に保つことは欠かせません。

糖尿病そのものは、内科や糖尿病科などの専門医が治療を行い、白内障は眼科専門医が治療を行いますので、糖尿病白内障を発症したら、内科あるいは糖尿病科専門医と、眼科専門医が連携して治療に当たります。

白内障手術で根治します

一般的な白内障も、糖尿病白内障も、根本治療は白内障手術のみです。 白内障手術は、濁ってしまった水晶体を取り出して、人工の眼内レンズに置き換える手術です。これによって、白内障は治りますが、ピント調整は自由自在には行えませんので、手術後も眼鏡が必要な場合もあります。

糖尿病白内障は手術ができないことはありません。

糖尿病患者さんは、菌やウイルスなどへの抵抗力が弱まりますので、感染症リスクも高くなりますが、現在主流で行われている小切開による超音波乳化入院術は、感染や出血のリスクが低く、糖尿のコントロールが悪い患者さんでも、手術を受けることができますし、入院して血糖値のコントロールをする必要もありません。

糖尿病白内障にならないためには

糖尿病は全身の血管も臓器も老化を早めてしまいます。目もその例外ではなく、糖尿病になると白内障が急激に進行するのはこのためです。糖尿病白内障にならないためには、糖尿病にならないこと、糖尿病に限らず、生活習慣病にかからないことが重要です。

生活習慣病は、名前の通り、生活習慣を原因としてかかる病気です。良くない生活習慣である、バランスの悪い食事、暴飲暴食、運動不足、ストレス過多、飲酒、喫煙などが生活習慣病の温床となります。小さなことからコツコツと変えていき、健康的な生活習慣で、生活習慣病も糖尿病白内障も遠ざけましょう。

治療をしっかり行いましょう

糖尿病専門医による診療

糖尿病白内障は、一般的な白内障よりもさまざまなリスクが高まってしまいます。眼科専門医の判断に従って治療を行うこと、内科や糖尿病科専門医の治療の下に血糖値コントロールをしっかり行うようにしましょう。