手術方法が変わる?白内障が進行するとどうなるの?

手術方法が変わる?白内障が進行するとどうなるの?

この記事の監修ドクター|藤井 里香先生(綾瀬ふじい眼科)

白内障はどんな進行段階でも治療は可能です。進行に合わせて治療法も手術方法も変わります。

白内障は進行する病気です

光がまぶしい白内障

白内障の自覚症状はこんなものから始まります。

  • 光がまぶしい
  • 物がにじんで見える
  • かすんで見える
  • 視力が落ちる

これらの症状は、眼球前方にある水晶体が濁っていくことで起こります。水晶体はカメラでいうとレンズに当たる働きをしています。見たいものにピントを合わせ、光を通して網膜に映して物を見えるようにします。

この水晶体が濁ってしまうと、光をスムーズに通すことができなくなる、物がはっきり見えなくなる、見る力(視力)が低下するなどの問題が起こります。これが白内障です。白内障は少しずつ症状が悪化する進行性の病気です。

白内障が進行すると治療法が変わります

白内障は進行する病気。症状は少しずつ進行しますので、定期的な眼科専門医での診察を受け、タイミングを見て手術治療を考えていきましょう。

生活に支障が出てきたら手術をします

白内障の根本治療は手術です。濁ってしまった水晶体を取り除きますが、レンズの役割をするものが無くなると物がちゃんと見えなくなりますので、水晶体の代わりに、人工の眼内レンズを挿入します。

さらに進行すると手術方法が変わります

通常の白内障手術とは

白内障の手術は、「超音波乳化吸引術」と呼ばれる方法が一般的です。これは、水晶体が入っている水晶体嚢を小さく切開し、中の水晶体を超音波で砕き、吸い出して取り除き、人工眼内レンズを挿入する手術方法です。

白内障手術は、点眼麻酔による局所麻酔で行います。水晶体嚢の切開は2~3㎜とごく小さく、縫合も必要ないため、術後の乱視や感染症リスクも最低限となっています。術式や技術の進歩で、手術時間がとても短くなっており、5~10分で終わりますので、患者さんへの負担も少ない治療法です。

進行した白内障の手術とは

白内障がさらに進行すると、水晶体の核が硬くなってしまうことがあります。このため、水晶体を砕くことができず、そのままの状態で丸ごと取り出す方法で手術を行います。これを「水晶体嚢外摘出術」と言い、通常の超音波乳化吸引術よりも大きく切開する必要があります。

超音波乳化吸引術では、水晶体嚢の切開は2~3㎜で行いますが、水晶体嚢外摘出術では11㎜程度の切開が必要となり、水晶体摘出後の縫合も必要です。このため、手術後に乱視のリスクが高まります。手術時間も長く必要となり、40分ほどかかるようになります。

白内障手術のタイミングは?

眼の調子が悪い男性

白内障手術は、白内障を根本的に治療できますが、合併症や後遺症のリスクは皆無ではありません。そのため、症状の進行段階や、生活への支障の度合いを見て、手術を受けるタイミングを決めていきます。

仕事柄や生活スタイルで目をよく使う、視力に頼ることの多い患者さんは、早めに白内障手術を受けた方が良いでしょう。また、若い患者さんほど症状の進行が速い傾向にありますので、この場合も早めの手術が進められます。いずれにしても、眼科専門医と充分な相談の上、手術を受ける時期を決めましょう。

白内障はどの進行段階でも手術ができるとは限りません。

白内障は進行を遅らせることが、できない疾患です。「どの段階以降も治療は可能」というわけではありません。が、かなり進行してても、それなりに治療は可能な疾患ので、諦めずに眼科専門医へ受診しましょう。