正しく知ろう!歯周病治療のこと

正しく知ろう!歯周病治療のこと

この記事の監修ドクター|山田雄一先生(山田雄一歯科医院)

悪化すると歯を失ってしまう歯周病は、重大な生活習慣病です。歯周病のメカニズムから、検査や治療を知っていきましょう。

歯周病のメカニズム

歯周病は、歯に付いた汚れ(プラークと言います)や、歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)に溜まった汚れに歯周病菌が感染して起こる病気です。歯周病菌は歯茎の炎症を起こし、腫れや痛みなどの歯肉炎が歯周病の初期症状です。

症状が進行すると、歯茎が下がり、歯周ポケットが深くなり、歯周病菌の感染が骨や歯周組織にも広がります。感染した骨は溶け始め、歯がぐらつくようになり、やがて抜け落ちます。歯周病は歯が失われた後も、周りの骨を溶かし続けて、入れ歯やインプラント治療も困難な状態にしてしまうことがあります。また、噛み合わせが悪くなることによる全身症状も無視できません。

治療の前にこんな検査をします

歯周病を疑って歯科専門医を受診すると、こんな診察や検査が行われます。

問診

主になる症状が何か、いつから症状が始まったのか、治療の有無、家族に歯周病のひとがいるかどうかなどを確認します。

つぎに歯周病のリスクファクター(疾患を悪化させる因子)があるかを問診によって確認します。現在までのところ歯周病のリスクファクターとして有名なものは喫煙や糖尿病などがありますが、これらについては喫煙歴の有無や開始時期、喫煙時期の一日の喫煙本数などの詳細を、また糖尿病に罹患している場合にはヘモグロビンA1Cの値などについて適正値にコントロールされているかを確認します。

次に、

歯周ポケットの測定
専用の器具を使って歯周ポケットの深さを測定します。健康な人の歯周ポケットの深さは2~3㎜とされ、それよりも深いと歯周病が疑われますし、深さで歯周病の進行状態も把握することができます。
記録写真とレントゲン
治療前後の変化を記録するために口内の写真を撮ります。また、歯や骨の状態を知るためにレントゲン撮影も行います。
細菌検査
歯周ポケットに感染している歯周病菌の種類を調べます。
噛み合わせや習癖の確認
かみ合わせの状態によっては、歯周病を悪化させうる要因のひとつになりうることがあります。その他にも影響する癖などがありますので、それをお聞きします。。

歯周病の治療法あれこれ

歯周病との診断がおりてから行う治療には、以下のようなものがあります。

歯石の除去

自宅で念入りに歯磨きしていても、磨き残しがあることは珍しいことではありません。そのため、歯科医院で専門の器具を使って物理的にプラークを取り除くことは、歯周病の治療でとても大切なものです。

歯周病の症状が軽いうちは、プラークの除去と後述の歯磨きの徹底で、歯周病を治すことができます。

抗生剤の処方
歯周病菌による、歯茎などの感染を抑えるための抗生剤を処方します。
歯磨き指導

歯周病治療では、歯磨き後の歯に残っているプラークを可視化して評価します。まずはプラークスコア20%(歯のすべての面の20%にプラークが残っている)が目標です。歯周病の効果的な治療のためには、ここからさらに5~10%まで引き下げることが目標です。

そのために、歯科医院では正しい歯磨きの仕方を指導します。歯ブラシの動かし方、角度、力の入れ方などから、歯ブラシ以外のグッズ(歯間ブラシやフロス、ワンタフトブラシなど)の効果的な使い方を伝えていきます。

歯周病には外科治療もあります

歯周病が進行した場合、外科的治療も必要となってきます。

フラップ手術
歯周ポケットが深くなり、通常のクリーニングでは除去しきれない歯石やプラークを、歯茎を切り開いて除去します。
抜歯
歯周病の症状が進行し、骨が溶けてぐらついている歯を抜きます。周囲の歯や骨へ、症状が広がらないための処置でもあります。
骨の移植、歯周組織の再生
歯周病の重症化で失われてしまった骨の部分に、自分の他の部位の骨や、人工の骨、また再生を促す材料を移植します。
歯肉や粘膜の形状を整える
下がってしまった歯肉を回復させるために、他の部位から歯肉を移植したり、下がってしまった歯肉の両側から歯肉を引っ張って歯を隠し、見た目を整えます。

成人の8割が歯周!?早期治療を!

歯周病は日本人が歯を失う原因の1位の、重大な生活習慣病です。成人の8割が歯周病にかかっているという研究結果が報告されていますが、かかっていることに気付かない人も多く、症状が進行してから治療を開始し、間に合わずに歯を失うケースがとても多く見られます。

歯磨きの際の出血や歯茎の腫れ、歯がしみたり口臭がしたりするのも、歯周病の症状です。思い当たる人は、悪化する前に歯科専門医を受診して早期に治療を開始し、自分の歯を長く大切にしましょう。