この記事の監修ドクター|加部 晶也先生(町田メアリー歯科)
歯周病治療では歯磨きが大切です。歯磨きの点数表、プラークスコアを知っていますか?
歯周病治療に歯磨き指導は欠かせません
歯周病は、歯肉炎、歯周炎と進行し、やがて歯を支える骨を溶かしていく病気です。歯周病はそのすべての段階において、予防のため、治癒のために、あるいは進行を遅らせるために、歯磨きは欠かせない大切な治療法の1つです。
歯周病の初期段階である歯肉炎は、歯と歯茎の境目にあるプラークを歯磨きで除去できれば、1週間から10日で完治します。悪化して歯周炎となった場合は、完治は不可能になりますが、丁寧で適切な歯磨きは、歯周病の進行を抑制し、1本でも多くの歯を残すために欠かせません。
プラークスコアは歯磨き点数表!
歯周病の治療に入ると、まず歯科医院でプラークスコアというものを付けます。これは、分かりやすく言うと、どの程度磨けているか?プラークがどのくらい落とせているか?を数値化した、歯磨き点数表のようなものです。
1本の歯を4つの面に分けて、プラークが残っている面の数を数えていきます。プラークの磨き残しは染め出し液で着色して調べます。成人の歯は、親知らずも含めると、全部で32本です。ですから、32×4=128面のうち、何面に磨き残しがあるのか?を%で計算します。
プラークスコアは、歯磨きの点数表であり、口の中の清潔さを計るものです。歯周病やその他の口腔の病気の状態と、プラークスコアの数値は関係がなく、歯周病が進行している人でも良い数値が出ることもあれば、まだ歯周病になっていない人が悪い数値を出してしまうこともあります。
どのくらい磨けば何点?
では、プラークスコアがどのくらいなら、きちんと磨けていると言えるのでしょうか。歯周病の治療として歯磨きを考えるなら、目標は10%ですが、この数値を出すのは、かなりの努力やコツが必要です。そのため、現実的な目安として「まずは20%を目指しましょう」という歯科医院が多いようです。
では、平均値は?と言うと、歯科医院に受診する人の数値のみで判断するしかありませんが、40~70%が多く見られるスコアです。歯の健康に気をつけている人の平均値ですから、未受診の人も含めると、もっと悪い数値が出ることでしょう。
歯と歯の間は歯間ブラシやフロスを使わずに磨くのは難しいことですが、これら歯磨きグッズを使ったことがない人も多いです。逆に、歯間ブラシやフロスを使って、普段から歯磨きをしている人は、もっと良い数値が出るでしょう。
歯周病にかかっていなくても、口臭が気になる人は多いものですが、口臭の原因はプラークであることが多いです。口臭が気になる人がプラークスコアを付けると90%以上を指すことが多く、放置するといずれ歯周病になると考えられます。
定期的に歯科医院に通い、口内状況をチェックしている人でも、50~70%はよくある数値です。かなり良い方の数値と言えそうですが、体調を崩して抵抗力が弱まったときなどに、歯周病菌に感染してしまい、歯周病にかかるということは大いにあります。
プラークスコア10%を目指せ!(歯磨きグッズの種類と活用)
先に述べましたが、歯周病の治療としての歯磨きの目標値は10%です。しかしこれは、なかなか出すのが難しいとされる数値です。ただがむしゃらに頑張れば出るというものではなく、歯ブラシ以外の歯磨きグッズを上手に活用することで出せる数値と言えるでしょう。
歯ブラシ以外の歯磨きグッズと言えば、
- ・ 歯間ブラシ
- ・ フロス
- ・ ワンタフトブラシ
などがあります。歯間ブラシやフロスは、歯と歯の間の磨きにくい部分をきれいにするのに効果的です。ワンタフトブラシというのは、とても小さなブラシで、歯並びが乱れていて歯と歯が重なっている部位や、1番奥の歯の裏側といった、普通の歯ブラシでは届きにくい場所のプラークをとるのに向いています。通常の歯ブラシでの歯磨きの後に、これらのグッズを使うだけで、プラークスコアは確実に改善されるでしょう。使い方のコツや適した器具とそれを使用する部位はかかりつけの歯科医院でお尋ねください。
歯周病は歯科医院での治療と、自宅での歯磨きで治します
歯周病は歯科医院での治療のみでは足りません。自宅での歯磨きが一番大切な治療と言っても過言ではないのです。そのために、歯科医院では、患者さんに合った歯磨きの方法や、グッズの紹介もしています。
歯周病治療は歯科医院任せにしないことが大切です。歯科医院での歯磨き指導を活かして、次回の診察までにプラークスコアをいくつ改善できるか?挑戦してみてはいかがでしょうか。