果汁100%フルーツジュースが糖尿病の危険性!?

果汁100%フルーツジュースが糖尿病の危険性!?

この記事の監修ドクター|金澤 健太 先生(かなざわクリニック)

果汁100%のフルーツジュースというとヘルシーなイメージがありますが、飲む量によっては糖尿病のリスクが高まるという研究結果があります。何が問題なのでしょうか。

アメリカでの調査結果

注射器と薬とジュース

アメリカで実施された「ナース・ヘルス研究(Nurses Health Study)」に参加した女性(心疾患、がん、糖尿病と診断されたことのない7万1346名の看護師)を対象に、食事についてのアンケート調査で1984年から18年間にわたり調査を実施しました。

調査の結果、緑色葉物野菜や果物をよくとっている人では、2型糖尿病の発症が少ない傾向があることが分かりました。しかしその一方で、果汁100%のフルーツジュースをよく飲む人については、糖尿病の発症が増える傾向が示されたのです。

果汁100%のリンゴジュースを1日3杯以上飲む人では、1杯未満の人に比べ発症リスクは1.15倍に、果汁100%のグレープフルーツジュースでは1.14倍になりました。果汁100%のオレンジジュースを1日1杯以上飲む人では、1杯未満の人に比べ発症リスクはなんと1.24倍にもなったのです。

イギリスでの調査結果

オレンジジュース

また、イギリスの国立食生活と栄養調査庁が子供と大人合わせた4000人を対象に、2008年から2012年まで調査しました。その結果、大人や子供問わず糖分の摂取量が多いことが判明し、実に34%以上の成人が、過剰摂取していたことが明らかになりました。またその調査で、果汁100%のフルーツジュースが原因で糖尿病のリスクが高まる可能性が明らかになり、毎日飲むと糖尿病リスクが急激に増加することが解ったのです。

これはジュースが果物と違い、切ったり皮を剥いたりといった手間が無いために、水のように飲むことがきることが原因だとされています。多くの人は、果汁100%のフルーツジュースが身体にいいはずとなんとなく思ってきたのですが、特に糖尿病の人にとっては、それは大きな誤りだったのです。

果汁100%のジュースの糖分は…

ジュースを飲む女性

今では、コンビニやスーパー等でいろいろな種類の果汁100%のフルーツジュースが販売されていますが、炭水化物量(糖質量)をチェックすると、大体100gあたり15~20g位含まれています。「炭水化物=糖質」と考えると、200mlのパックであれば約30~40g摂取するという計算です。

糖尿病の人は1gの糖質につき約3mgの血糖値が上がるとされており、30gの糖質摂取となれば単純計算で約90mgの血糖値が上昇することになります。果物の「天然の甘み」と聞けば耳障りも良くヘルシーなイメージがありますが、天然かどうかは関係なく、やはり「糖質」は血糖値を確実に上昇させてしまいますので、糖尿病の人には良くないのです。その上、液体の糖分ですから、固形物をしっかり噛んで食べる場合よりも、より吸収が速く、血糖値を急激に上げてしまう危険性もあるのです。

ジュースよりも果物を食べましょう

フルーツ

もし、果物を食べるのであれば、ジュースにせずに、そのまま固形で食べましょう。よく噛んで胃で分解され、小腸に少しずつ流れていき、栄養素が少しずつ吸収されていく、この過程を経ていく方が体には良いのです。

果物自体も糖質多めなので、糖尿病の人にとってはあまり積極的に食べていいものではないですが、チョコレートや菓子パンなどの糖分の多い食べ物と比べると、いろいろな栄養も含まれていますので、甘い物が欲しくなった時の間食として適量であれば、問題はないでしょう。果物を食べる際には、担当医に、食べてもいいフルーツの適量を相談されると良いでしょう。

これを機に、ジュースで一気に流しこんでしまうのではなくて、じっくり果物の甘みを噛みしめながら、食べる楽しみを味わって、糖尿病から自分を守っていくようにしましょう。