白内障手術の前に知っておきたい手術後の変化とケアについて

白内障手術の前に知っておきたい手術後の変化とケアについて

この記事の監修ドクター|姜 哲浩先生(西大井駅前眼科)

日帰りで行うこともできる白内障手術ですが、手術後にはどんな変化があるのでしょうか。必要なケアをまとめました。

白内障手術とは

シニア

白内障の初期で、生活や仕事に支障が出ていない場合、主な治療法は点眼薬となりますが、白内障の進行を遅らせることはできても視力の回復はしません。白内障が進行した場合は、根本治療として手術が選択されます。手術を行えば視力も回復します。

白内障は虹彩(黒目)の裏側にある水晶体が濁ってしまう病気ですが、白内障手術では、この濁ってしまった水晶体を砕いて取り出し、新しく人工の眼内レンズを挿入します。手術は局所麻酔で10~20分ほどの短時間で終わり、日帰りで行うこともできます。挿入した眼内レンズは交換の必要はありません。

見え方の変化と対応

白内障手術の後は、回復した見え方や視力で、戸惑うことも多いものです。主な見え方の変化と対処法を挙げてみましょう。

まぶしく感じる

手術前は濁った水晶体で見ていたために、手術によって透明になった水晶体に光が多く入ってまぶしく感じることがよくあります。慣れるまではサングラスなどをかけると良いでしょう。

青く見える

手術前は水晶体が黄色く濁っていることが多く、青色の光が入りにくくなっていました。手術によって水晶体に青い光が多く入ることができるようになり、青く見えると感じます。色の感覚の変化は時間が経つと慣れていきますので、それまでは色付きのサングラスなどをかけると良いでしょう。

黒いものが飛ぶ

黒いものが飛ぶ

もともと加齢とともに飛蚊症という、黒い小さな虫が飛ぶように見える症状が増えることが多いのですが、白内障でかすんで見えていたため見えていなかった症状が、手術によって視力が回復したためによく見えるようになるのです。時間とともに慣れていきますが、まれに網膜剥離などの前兆である場合もありますので、気になる場合は眼科で検査を受けましょう。

視野の周囲に幕があるように見える

光が眼内レンズの縁に反射して、その部分が幕のように感じることがあります。視力などに悪影響もありませんので、時間とともに慣れていきます。

メガネの調整は3ヶ月以降に

多くの患者さんが、白内障手術の直後からよく見えるようになり、手術前に使用していたメガネが合わなくなります。手術によって視力が良くなりますが、視力が安定するのは術後1~2ヶ月頃ですので、新しい眼鏡はこの時期に作り直されると良いでしょう。

やってはいけないこと

シニア

白内障手術の後にはやってはいけないことがあります。細菌の感染や合併症の予防のために大切なことです。手術後1ヶ月は慎重に行動しましょう。

眼をむやみに触らない

細菌の感染や合併症の危険があります。眼のまわりも清潔を保ちましょう。

点眼薬を使う前に手を洗う

細菌の感染を予防しましょう。

水泳

軽い運動は手術翌日から可能ですが、水泳は顔が濡れるため避けてください。

掃除

手術をした眼に埃が入るためしばらくの間はなるべく避けてください。

喫煙と飲酒

回復を早めるために、手術後1週間は控えてください。

テレビや読書

眼を疲労させない程度に控えてください。

車の運転

医師の許可が出るまでは控えてください。

力仕事

力んだ拍子に傷口が開くことがあります。しばらくは休みましょう。

合併症や後発白内障もあります。
定期検診を大切に

検査イメージ

手術の傷口からの細菌感染などによる合併症が起こることがあります。手術後に良く見えていたのに、突然見えにくくなった、強い痛みや充血があるなどの症状が起こったら、急いで眼科を受診しましょう。

白内障手術の後、数ヶ月から数年後に再び白内障に似た症状が現れることがあり、これを後発白内障と呼びます。後発白内障の治療はレーザーで行い、視力も回復します。いずれの変化も早い受診が大切です。手術後の定期検診を欠かさないようにしましょう。