長時間の立ち仕事は注意!下肢静脈瘤にならないために

長時間の立ち仕事は注意!下肢静脈瘤にならないために

この記事の監修ドクター|塩尻 泰宏先生(上高田クリニック)

長時間の立ち仕事は下肢静脈瘤になりやすくなります。生活の中で工夫できることがあります。

下肢静脈瘤はこんな病気です

疲れている女性

下肢静脈瘤は、足の静脈がボコボコと膨らんだり、浮き出て見えたりする病気です。見た目の問題だけでなく、むくみやだるさ、足がよくつるなどの症状を伴うことも多く見られます。

足の静脈は、足の筋肉のポンプ作用と静脈の逆流防止弁によって、重力に逆らって心臓に血液を送り返すために、足の筋肉は「第二の心臓」と呼ばれています。 このポンプ作用と、逆流防止弁によって血液が落ちてくるのを防いでいますが、この弁が壊れてしまい、血液が足の静脈に留まってしまうために起こるのが、下肢静脈瘤です。

静脈は、老廃物を含んだ血液を送っており、この血流が滞るということは、足に老廃物が溜まってしまうことですので、むくみやだるさ、足がつるなどの症状が引き起こされます。

立ち仕事が多い人は下肢静脈瘤になりやすい!?

レジ打ちしている女性

下肢静脈瘤は、足の静脈に負担がかかって、血液の逆流を防止する弁(静脈弁)が壊れてしまって起こる病気です。そのため、足の静脈に負荷がかかり続ける立ち仕事が、長時間続く人はなりやすいことがわかっています。

立ち仕事といっても、家事や警備の仕事、倉庫の整理や営業職などで歩き回る仕事よりも、「限られた場所」で「あまり動かずに」行う立ち仕事、例えばスーパーのレジや販売の仕事の方が静脈瘤になりやすいです。

また、立ち仕事だけでなく、座りっぱなしの仕事も危険です。足を長時間動かさない人は、下肢静脈瘤になりやすいので注意しましょう。

下肢静脈瘤にならないためにできること

1時間ごとに足指をグーパー体操しましょう

立ちっぱなしや座りっぱなしが続く人は、1時間ごとにグーパー体操を行いましょう。足首の曲げ伸ばしから、足の指をぎゅっと(グー)して開く(パー)を繰り返します。

ふくらはぎのエクササイズ

ふくらはぎの筋肉は、足の静脈の働きを助けています。立ちっぱなしの時はつま先立ち、座りっぱなしの時はつま先を上げるなど、ふくらはぎの筋肉を動かすことを意識してエクササイズしてみましょう。

数時間ごとに足を水平にしましょう

立ちっぱなしや座りっぱなしの仕事中でも、数時間おきにイスに足を上げるなど、足の静脈を水平にして、静脈弁の負担を軽減しましょう。

寝るときはクッションなどで足を高くしましょう

足を上げて、静脈の血流を助けましょう。

水分を多めにとりましょう

水イメージ

血液をサラサラにして、静脈弁の負担を減らしましょう。暑さで汗をかく夏や運動後だけでなく、冬も乾燥しますので注意して、こまめな水分補給を心がけましょう。

温かい食べ物、飲み物をとりましょう

冷たい食べ物や飲み物で体を冷やすと、血流も悪くなります。温かい食べ物、飲み物で体を温め、血行を促進しましょう。

弾性ストッキングを着用しましょう

弾性ストッキングは、着圧で足の静脈の補助をするストッキングです。むくみやだるさが気になるときにも効果的です。下肢静脈瘤の治療法の1つですが、予防にも役立ちます。

締め付けない服装をしましょう

締め付けの強いガードルなどの下着、つま先を締め付けるハイヒールなどは、足の血流を阻害します。ゆったりした服装で、血管を締め付けないように気を付けましょう。

入浴後や寝る前のマッサージ

ふくらはぎを心臓に向かって、手のひらで優しく撫でます。他にも足裏の土踏まずの指圧も、全身の血流を良くしてくれます。青竹踏みなども良いでしょう。

適度に運動しましょう

ストレッチ中の女性

運動は全身の血流を良くする他にも、筋肉を動かし鍛えることでも、血管の働きを助けてくれます。ウォーキングやランニング、水中ウォーキングや水泳など、好きなスポーツを見つけて、定期的に行うと良いでしょう。

バランスの良い食事をとりましょう

高脂質な食事や塩分の多い食事で血液をドロッとさせてしまうと、静脈弁の負担が増します。脂質や塩分に気を付ける他にも、血行促進作用のある栄養素を取り入れるのも効果的です。

肥満にならないように気を付けましょう

体重が増えると血管に負担がかかります。肥満の人は下肢静脈瘤になりやすいと言われています。適度な運動やバランスの良い食事で肥満にならないようにしましょう。

できることから下肢静脈瘤予防を!

立ち仕事の人は下肢静脈瘤になりやすいことがわかっていますが、予防法はさまざまにあります。できることから始めて、健康な足を目指しましょう。気になる症状は専門医へ相談しましょう。