この記事の監修ドクター|塩尻 泰宏先生(上高田クリニック)
妊娠中になりやすい病気の1つに下肢静脈瘤があります。発症しやすい理由や治療法、予防法などを見ていきましょう。
下肢静脈瘤は妊娠中になりやすい!?
高齢の女性に多いイメージがある下肢静脈瘤ですが、年齢を問わず、妊娠中の女性の20%に起こるとされ、妊婦さんには要注意の病気の1つです。妊娠中に下肢静脈瘤になりやすい理由は大きく分けて2つあります。
血液量の増加
妊娠中は血液量が増加しするため、血管が拡張します。また、妊娠中に増加する黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で血管が固くなり柔軟性が低下し、弁の働きが妨げられてしまいます。
大きくなった子宮が静脈を圧迫
妊娠が進むにつれ大きくなる子宮が、静脈を圧迫して血流を悪化させます。そのため、足に血液が溜まりやすくなり、静脈弁が壊れやすくなり、下肢静脈瘤ができます。
妊娠中の下肢静脈瘤は安全?危険?
下肢静脈瘤は、血液の逆流を防止する弁(静脈弁)が壊れてしまって、血管に血液が溜まってしまう病気です。
下肢静脈瘤そのものは、良性の病気で、命に関わることは少ないものです。下肢静脈瘤だからと言って、足に血栓ができて脳梗塞になりやすいということもありません。下肢静脈瘤の問題は、見た目が悪いということだけというケースも多いのです。
しかし、下肢静脈瘤は、足の静脈の血流が悪くなるため、足の静脈に老廃物が溜まり、むくみやだるさ、足がつるなどの症状を伴うことがあります。
妊娠中も下肢静脈瘤はこんな治療をします
下肢静脈瘤の治療は、通常でも、弾性ストッキングを着用する圧迫療法、注射で静脈を硬化させて塞ぐ硬化療法、手術の3つです。
妊娠中は妊婦や胎児の負担を考慮して、硬化療法や手術は基本的に行いませんので、圧迫療法が中心になります。医療用の弾性ストッキングを着用して、足のポンプ作用を助けてあげる治療法です。
下肢静脈瘤は、妊娠中に発症して悪化することもありますが、産後は血液量も減り、子宮の大きさももとに戻るため、改善することも多い病気です。そのため、妊娠中の下肢静脈瘤は、経過観察と圧迫療法で様子を見て、産後に本格的な治療を行うことが多いです。
ノルアドレナリンは不安、恐怖、怒りや意欲を司る物質です。また、セロトニンは、精神の安定と意欲をわき起こす司る物質です。これらが上手にバランスよく活動することで、人間の精神は保たれます。しかし、パニック障害の場合、このバランスが崩れて起こると考えられています。
産後の下肢静脈瘤はこんな治療ができます
無事に出産が終わったものの、下肢静脈瘤の改善が見られない場合は、硬化療法や手術を行います。硬化療法は軽症の下肢静脈瘤に適用される治療法で、注射で硬化剤を静脈に注入してつぶして血管を閉塞させます。
手術は、伏在型静脈瘤と言って特に大きな静脈瘤に適用される治療法です。弁が壊れている静脈をワイヤー(ストリッパー)で抜き取ったり、レーザーで静脈を焼き閉じてしまう方法です。弁が壊れており、静脈瘤ができている静脈は血管として機能していないどころか、悪さしかしていませんので、抜き取ってしまっても問題ありません。
妊娠中の生活はこんな工夫を!
下肢静脈瘤になってしまった妊婦さんも、まだなっていない妊婦さんも、どちらにも効果的な予防法は以下のようなものです。
適度な運動
ウォーキングやストレッチなどを無理なく行いましょう。マタニティーヨガやマタニティースイミングも効果的です。
体を温める
体は冷えると血流が悪くなります。レッグウォーマーや靴下で足を温めましょう。
血行を良くする
マッサージやストレッチ、弾性ストッキングの着用も効果的です。また、普段の服装も、体を締め付けない、ゆったりとしたものを着用しましょう。寝るときはクッションなどで足を高くして寝ると良いでしょう。
心配なことは専門医を受診して解消しましょう
妊娠中の女性の体は、非常にデリケートです。さまざまな不調も起こりやすく、心もデリケートになりがちです。下肢静脈瘤は見た目の問題も大きく、心配ですが、出産後に自然と改善することも多い病気です。心配な場合は専門医を受診し、しっかりと説明を受け、安心して出産に臨めるといいですね。