遅発型食物アレルギーを知っていますか?

遅発型食物アレルギーを知っていますか?

この記事の監修ドクター|山崎 まいこ先生(まいこホリスティックスキンクリニック)

食物アレルギーには即時型と遅発型があります。どんな症状が出るのでしょうか。

食物アレルギーって何?

アレルギーを引き起こす場合がある食物

人の体は毎日細菌やウイルス、その他の有害物質にさらされていますが、その度に病気などにならないのは、人の体に免疫という働きもまた備わっているからです。

免疫は、有害物質の侵入を見つけて攻撃し、排除するシステムです。このシステムのおかげで、人は生活で接するさまざまな有害物質から身を守ることができるのです。炎症と呼ばれる、発熱や疲労感を伴う状態は、免疫システムが攻撃しているときに起きる症状です。

しかし、この免疫システムが異常を起こすことがあります。有害でないものを有害だと認識して攻撃してしまうのです。攻撃するものが自分の骨や関節などの体の成分である場合、リウマチなどの「自己免疫疾患」が起こり、花粉やほこり、食品である場合、「アレルギー疾患」が起こります。

アレルギー疾患のうち、食品によって起こるものを食物アレルギー(フードアレルギ-)と言います。

食物アレルギーには即時型と遅発型があります

即時型食物アレルギーとは

即時型の食物アレルギーは、原因となる食品を食べてから15分ほどで症状が始まります。遅くても12時間以内に症状が出始めるのが即時型食物アレルギーです。

即時型食物アレルギーの症状はさまざまです。じんましんや湿疹、気管支喘息や鼻炎が多く見られる症状ですが、軽度から重度まで程度もさまざまです。即時型食物アレルギーの最も激しく重症な反応が、アナフィラキシーショックと呼ばれるもので、呼吸困難などを伴い、命の危険もあります。

遅発型食物アレルギーとは

遅発型食物アレルギーは、原因となる食品を食べてから、症状が出るまでに半日から数日かかります。そのため、原因となる食品と症状の因果関係がわかりにくいうえに、慢性症状が多いため、長期間に渡って体内の炎症が続くことになり、体への負担を見過ごせないのです。

遅発型食物アレルギーの症状は、アレルギーとは気づきにくい症状が多く、慢性頭痛や慢性疲労、長く続く鼻炎やアトピー性皮膚炎、消化器の不調などの他、肩こりやイライラなどの精神症状、肌荒れやニキビなどのお肌の不調も、遅発型食物アレルギーを原因として起こっていることがあります。

症状としては、即時型よりも軽微ですが、体内で炎症が起こっていることは共通しており、短期間で終わる即時型食物アレルギーと、長期間に渡って症状が続く遅発型食物アレルギーは、体への負担は同等となってしまいます。

遅発型食物アレルギーとアトピーの関係とは

手のアトピー

アトピー性皮膚炎は、そのすべてがアレルギーを原因としているのではありませんが、食物アレルギーが原因で起こるアトピー性皮膚炎があることは事実です。

特に遅発型食物アレルギーが原因でアトピー性皮膚炎を起こしている場合、原因がわかりにくく、症状のコントロールが難しくなりがちです。

遅発型食物アレルギーの治療とは

原因食品の特定が難しいとされる遅発型食物アレルギーですが、特定できないわけではありません。以下の食物日誌や遅発型食物アレルギー検査で原因食品を特定することができます。

食物日誌
毎回の食事を、食品、調味料、スパイスなどを記録し、症状の出方と比較して原因食品を特定します。特定までにある程度時間がかかること、記録には患者さんの力が必要であることなど、多少ハードルはありますが、料金もかからずに行える検査です。
遅発型食物アレルギー検査
96種の食品について、少量の血液で検査を行うことができます。しかし、検査が保険適用でないため自費で3万円ほどかかることと、米国に送って調べるため、結果が出るまで2週間ほどかかります。
食事指導
上記の方法で原因食品が特定できたら、毎日の食事から気を付けて除去します。このときに、必要な栄養が不足しないように注意を払う必要があります。

遅発型アレルギーの食品はもう食べられない?

遅発型食物アレルギーの原因となる食品は、日常的に食べているもの、あるいは好んでよく食べているものであること多くあります。そのため、検査で特定された食品が、患者さんにとって欠かせないもの、大好きなものであることも多いのです。

しかし、それらが二度と食べられないのかというとそうではありません。半年ほど除去して、症状が治まると、4日に1度ほどなら問題ない場合が多く見られます。食べ過ぎないことが大切かもしれませんね。

長引く不調は遅発型食物アレルギーかもしれません

皮膚科医師の診察風景

食物アレルギーというと、即時型食物アレルギーを指すほど、遅発型食物アレルギーは知られていません。しかし、長く続く軽微な不調は、遅発型食物アレルギーが原因であることもあります。なんとなくの不調を見過ごさず、一度皮膚科専門医へご相談ください。