子どもがかかる胃腸炎。種類と症状

子どもがかかる胃腸炎。種類と症状

この記事の監修ドクター|大戸 秀恭先生(勝どき小児クリニック)

子どもがよくかかる感染症に胃腸炎があります。どんな種類があり、どんな症状が現れるのでしょうか。

感染性胃腸炎には種類があります

冬に多いウイルス感染

ウイルスによって発症する胃腸炎には、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどがあります。ノロウイルスとロタウイルスは、主に秋から冬にかけて流行します。アデノウイルスは夏に流行します。

夏に多い細菌感染

細菌性胃腸炎は食中毒と呼ばれるもので、大腸菌やサルモネラ菌などに感染することで発症します。5~10月に多いのが特徴です。

吐き気と嘔吐、他にはこんな症状も!

下痢と嘔吐

いずれも、吐き気と嘔吐、腹痛と下痢、発熱などの症状が現れます。ウイルスに感染してから数時間か2日ほどで発症し、数日で収まります。感染力が強いことが特徴で、咳やくしゃみなどの飛沫感染の他、嘔吐物の中、排便の中にもウイルスがおり、集団感染や家族間感染が多く生じます。

下痢や嘔吐によって脱水症状が引きおこされることがあり、特に乳幼児は注意が必要です。脱水症状によって、腎臓の機能に異常が生じたり、尿路に結石ができるなどの合併症も起こります。まれにけいれんを起こして、後遺症が残ったケースもあります。

胃腸炎症状に続発して胃や十二指腸潰瘍を発症して、大量出血の報告が散見されます。血を吐く以外にも真っ黒な便が出てくるようであれば医療機関を早めに受診して下さい。

年齢ごとにかかりやすいものが違います

2歳まではロタウイルスに注意!

2歳ごろまでの子どもは、ウイルス性胃腸炎、特にロタウイルスに感染しやすいことがわかっています。保育園や幼稚園での感染拡大が多く見られます。さらに、発症すると、脱水症状が引き起こされることが多く、注意が必要です。

1歳以下の重症化に注意!

1歳以下の乳児が胃腸炎を発症すると、症状の進行が早いうえに重症化するケースが多く見られます。秋から冬のウイルス性胃腸炎の感染に特に注意し、意識がもうろうとしている、寝ているのか起きているのかはっきりしないなどの異変を感じたら、できるだけ早く受診しましょう。

大きくなると細菌感染が増えます

年齢を重ねるにつれ、細菌性胃腸炎の感染者数が増えます。

胃腸炎はこんな治療をします

水分補給
嘔吐や下痢で脱水症状が起こることを防ぎます。お茶や水などの飲み物が困難な時は、点滴で水分補給を行います。経口補水液などが効果的ですが、一度にたくさん飲ませず、少しずつ様子を見ながら、嘔吐しないことを確認しながら与えます。
対症療法
消化器症状には整腸剤や吐き気止めが処方されます。発熱を伴う場合は解熱剤を使用します。特効薬はありませんので、対症療法で容態を見ます。下痢に対しては、ウイルスや細菌の排出を促すため、下痢止めの処方は避けます。
抗生物質が効く胃腸炎もあります
サルモネラ菌や赤痢菌などは抗生物質の効果が認められていますが、細菌が発生させた毒素が残るので、除菌しても症状が改善するとは限らないため、必要性を見定めて処方します。

予防接種で予防できる胃腸炎もあります

ロタウイルスは予防接種が受けられます。特に重症化しやすい乳幼児の感染を防ぐため、生後3ヶ月頃から4週間ごとに2回、あるいは3回の生ワクチンを飲みます。任意接種で費用は自己負担で、1回8000円~10000円かかります。

感染性胃腸炎は予防が大切です

予防接種を受ける赤ちゃん

感染性胃腸炎は、感染力が非常に強いうえに、乳幼児は重症化しやすく、合併症も起こります。普段はマスクや手洗いで予防し、できる限り予防接種を受けるようにしましょう。異変があれば小児科専門医へ受診してください。