家族がウイルス性胃腸炎に!うつらないためにできること

家族がウイルス性胃腸炎に!うつらないためにできること

この記事の監修ドクター|大戸 秀恭先生(勝どき小児クリニック)

集団感染、家族間感染が多く起こるウイルス性胃腸炎。感染を拡大させないためにできることは何でしょうか。

ウイルス性胃腸炎は秋から冬にかけて流行します

吐き気

感染性胃腸炎は、大きく2つに分けられ、食中毒と呼ばれる細菌性胃腸炎と、ウイルスによるウイルス性胃腸炎です。細菌性胃腸炎は夏を中心に流行し、ウイルス性胃腸炎は秋から冬にかけて流行が見られます。

ウイルス性胃腸炎は、吐き気や嘔吐、腹痛や下痢などの消化器症状が主に現れ、発熱を伴うこともあります。小さな子どもは、脱水症状に注意が必要です。咳やくしゃみなどの飛沫感染の他、嘔吐物や便を介しての感染も多く、感染後数時間~2日ほどで発症します。

ウイルス性胃腸炎は、秋冬はノロウイルスやロタウイルス、夏はアデノウイルスというウイルスによる流行が多く見られます。

ウイルス性胃腸炎はこんな経路で感染します

咳でウイルスをまき散らす

ウイルス性胃腸炎は、咳やくしゃみによる飛沫感染だけでなく、ウイルスを含んだ嘔吐物、ウイルスを排出した便を介して感染することも多く見られます。感染者が触れたドアノブや水道の蛇口などからも感染するほど感染力は強く、しばしば集団感染が生じます。

症状が出る3日前から、回復後4週間は感染力があります

感染者が周囲へ感染させる力があるのは、症状が出る3日前~回復後4週間と長いのです。症状が治まった後も、便にウイルスが排出されますので注意が必要です。また、嘔吐物などの汚物が付着した衣服を洗濯機で洗ってしまい、続けて洗濯した家族の衣服すべてに付着してしまうこともあります。

ウイルス性胃腸炎は保育園や幼稚園、学校などでの集団感染と、家族全員が感染してしまう総倒れがよく生じる感染症です。

症状が出ない不顕性感染もあります

厄介なことに、ウイルス性胃腸炎に感染したにもかかわらず、症状が現れないまま、周囲へ感染力を持つこともあります。生まれたての新生児や、小学生以降の子どもから成人に多く見られます。

家族間感染を防ぐためにできること

①用意しましょう!

マスクと使い捨て手袋
飛沫感染を防ぐために必須なのはマスク。また、発症した子どもの世話をする人が、嘔吐物や便の処理時に触れてしまい、家族間感染が多いことから、汚物処理時には使い捨て手袋を使用することが推奨されます。ぜひ、流行する季節が来たら購入しておきましょう。
塩素消毒剤(漂白剤、消毒液の作り方)
キッチン用の漂白剤などのことです。5~6倍に薄めると、原因となるウイルスの除菌を行うことができます。

②手洗いをしっかり!

調理時のみでなく、普段の手洗いから念入りに行いましょう。また、注意したいのがタオルの共用で、共用のタオルを介して感染することもあります。使い捨てのペーパータオルなどを使用することがおすすめです。

③嘔吐物処理時の注意

換気しましょう
空気中のウイルスをできる限り減らすために、窓を開けての換気をしましょう。換気扇を回すだけでも効果があります。
広範囲に消毒しましょう
1mの高さから嘔吐すると、2mの範囲に飛び散るとの研究報告もあります。広範囲にふき取りや消毒を心がけましょう。
嘔吐物、使った手袋やペーパータオルなどは密封して捨てましょう
嘔吐物の処理から感染してしまう他に、処理した嘔吐物が乾燥し、ウイルスが飛散することもあります。処理した汚物やふき取ったペーパータオルなどは、速やかにビニール袋などに密封して捨てましょう。

④汚物が付いた衣服の消毒は…

汚物が家族の衣服などについてしまうこともあります。いつも通りにそのまま洗濯機に入れて洗濯してしまうと、一緒に洗った衣服にも感染します。衣服の消毒方法は2つです。5~6倍に薄めた塩素系漂白剤に浸すか、85℃以上の熱湯に、1分以上漬けると除菌できます。

予防が一番!予防接種を受けましょう

予防接種を受ける小児

秋から冬にかけて流行するウイルス性胃腸炎のうち、ロタウイルスには予防接種が開発されています。特に重症化することの多い乳幼児の発症を防ぐ目的で、生後6週間後から生後3ヶ月半までに2~3回接種します。口に液体を垂らして行う経口ワクチンです。また、任意接種ですので自己負担となります。

ポイントを重点的に感染予防!

ウイルス性胃腸炎は感染力がとても強い感染症です。家族の中で患者さんが出てしまったら、感染を拡大させないこと、家族総倒れにならないことが大切です。そのためには、汚物の処理時や処理した汚物の捨て方、汚物がついてしまった衣服の洗濯など、気を付けて行うことが効果的です。発症するとつらい胃腸炎。特に重症になりやすい乳幼児は、予防接種で予防しましょう。