風邪かな?と思っても注意!子どもの感染症、見分け方

風邪かな?と思っても注意!子どもの感染症、見分け方

この記事の監修ドクター|会沢 治朗先生(あいざわキッズクリニック)

風邪だと思っていたら急に悪化・・・子どもに多い感染症の中で、風邪に似たものの見分け方をチェックしましょう。

子どもの感染症には風邪に似た初期症状が多く見られます

子どもがかかる感染症には、くしゃみや咳、発熱や頭痛など、風邪に似た症状を示すものが多くあります。しかし、風邪だと思って見過ごしてしまうと、重篤な状態になってしまうものも多くあります。

初期症状が風邪に似ていても、風邪とは異なる症状を見つけて、早めに対処できると、危険な状態や、二次感染を防ぐことができます。子どもに多い感染症で、初期症状が風邪に似ているものを、流行が多い各季節ごとに見分け方をチェックしていきましょう。

春に流行する感染症

麻疹にかかった赤ちゃん

麻疹

どの年代でも抗体がなければ感染します。感染して発症すると、突然の発熱が起こります。38度前後の熱が2~4日ほど続き、だるさが伴います。言葉が上手でない幼児期では不機嫌になることが多いです。咳やくしゃみ、鼻水やのどの痛み、眼が充血や眼のかゆみ、腹痛や下痢も起こり、悪化します。

発熱後4日前後から、耳の後ろや首、額に赤い発疹が出始めます。次の日には顔全体に広がり、胴や腕から体全体に広がります。発疹は3~4日間続いた後に収まり始め、高熱も下がり始めて回復期に入ります。

麻疹は麻疹ウイルスに感染して起こります。感染してから発症まで、10~12に日間の潜伏期間があります。気候の良い春に強い風邪の症状が出たら気を付けることと、発疹が出たら医療機関に連絡の上、早く受診しましょう。

夏に流行する感染症

手足口病にかかった赤ちゃん

ヘルパンギーナ

赤ちゃんから未就学の幼児に多い感染症です。突然発熱し、のどの赤みや痛みを伴います。風邪と異なるのは、口の中に赤い水泡ができることです。水泡は大きいもので5㎜ほど。やがて潰れますが、潰れた痕が痛みます。

2~4日間ほどで回復に向かいますが、まれに髄膜炎や心筋炎を引き起こすこともあります。

手足口病

4歳以下の幼児が多い感染症ですが、小学生でも流行することがあります。夏に多く流行しますが、まれに秋から冬に流行することもあります。発熱は軽度のことが多く、手や足、口の中に2~3㎜の水泡ができます。水泡は他の部位に出ることもあります。

3~7日間で回復に向かいますが、まれに髄膜炎、脳炎、麻痺などを起こすことがあります。

アデノウイルス感染症(プ―ル熱)

小学生と幼児に多い感染症です。突然の発熱から、頭痛やだるさ、食欲低下が起こります。のどが炎症を起こすためにのどの痛みを伴い、眼も充血や痛み、かゆみや目ヤニなどが起こります。

冬に流行する感染症

インフルエンザにかかった少女

溶連菌(溶血性レンサ球菌咽頭炎)

まれに春から夏にかけて流行するときもあります。小学生に多い感染症です。突然発熱し、だるさとのどの痛み、吐き気や嘔吐を伴います。手足や全身に赤い小さな発疹が出ることもあります。風邪でよく起こる、鼻水や咳はありませんので、区別できます。

インフルエンザ

すべての年代で、秋から冬にかけて注意が必要です。突然の発熱があり、悪化するにつれ、全身倦怠感と痛みが起こります。風邪よりも高い熱と、全身の痛みがある場合は感染が疑われます。まれに脳炎などを起こすことがあります。

RSウイルス感染症

秋から冬にかけて流行し、小学生や幼児の感染が多いのですが、軽症で済むことが多いです。注意しなければならないのは生後数週からの乳児で、母体からの抗体があっても感染します。軽症の小学生や幼児から感染し重症化するケースが多く見られます。

軽症の場合は、軽い風邪と同様の症状です。しかし、乳児の場合は、急激に悪化し、意識混濁や気管支炎が起きて無呼吸になることがあるため、発熱がある、ミルクや母乳を飲まない、起きているのか寝ているのかはっきりしない、などの初期症状をよく観察してください。

子どもの感染症は、小児感染症を専門とする医師へ

風邪に似ていると思っても、よく気を付けて観察すると、風邪とは違う感染症であることがわかることが多くあります。言葉がまだ上手でない子どもの場合は、身近な人の観察が重症化を防ぐ手立てになります。ちょっと風邪とは違うかなと思ったら、早めに小児感染症を専門とする医師へ受診しましょう。