骨折しやすくなる?骨粗しょう症とはどんな病気?

骨折しやすくなる?骨粗しょう症とはどんな病気?

この記事の監修ドクター|本田 雅則先生(本田医院)

高齢者の健康な生活を守るためには、骨折を予防するのが近道です。骨折しやすくなる骨粗しょう症とは、どんな病気なのでしょうか。

骨粗しょう症は骨がもろくなる病気です

骨粗鬆症

骨粗しょう症は、さまざまな原因で骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。人の全身の細胞は、常に古いものから新しいものへと入れ替わっており、これを新陳代謝と言いますが、骨も骨代謝という新陳代謝をしています。

骨は表面の硬い部分(皮質骨)と、内側の繊維質の海綿骨と呼ばれる部分に分けられます。これらの骨が、古くなると壊されて吸収され(骨吸収)、新しい骨が作られ(骨形成)、年に2~3割の割合で新陳代謝(骨代謝)が行われています。

この骨代謝のバランスが崩れ、骨吸収ばかりが進み、骨形成が追い付かなくなることから、骨粗しょう症は起こります。結果として、骨の内部である海綿骨がスカスカになってしまい、骨の強度を現す骨密度が低下してしまいます。

骨の強さ(骨密度)は20~30歳頃がピークです

骨密度に現れる骨の強さは、思春期に一気に増え、20~30歳頃をピークにして、それ以降は下降していきます。加齢による自然な現象でもありますが、思春期よりも食事でとり込むタンパク質やカルシウムが減っていること、運動する時間や回数が減っていることも大きく影響します。

閉経後の女性は骨粗しょう症に注意!

女性は男性に比べると骨密度の減少が緩やかですが、これは女性ホルモンによる働きが大きく影響しています。女性ホルモンは骨形成を助ける働きをしていますので、女性ホルモンの分泌が減る閉経期から、一気に骨密度が減少することになります。

骨粗しょう症は高齢者の骨折の原因になります

腰を抑える女性

骨粗しょう症は加齢とともに増加、進行しますので、高齢者ほど骨折しやすくなってしまいます。骨折は確かに命がかかるものではありませんが、日本における高齢者が寝たきりになる理由の第3位は転倒による骨折です。さらに、要介護となる高齢者の1割ほどが骨折ですので、骨折の原因となる骨粗しょう症は、高齢者の生活の質を大きく左右する病気だと言えます。

寝たきりや要介護を予防するには骨折を予防することが大切であり、骨折の原因となる骨粗しょう症の治療と予防が、高齢者の健康な生活を守るために大切なことです。

骨粗しょう症は骨密度の測定で進行具合がわかります

骨密度の測定は、X線か超音波で行い、骨の内部に蓄えられているミネラルの量を調べます。検査時間はごく短く済みます。先に述べたように、男性の骨密度の減少は緩やかですが、女性の骨密度の減少は急激です。女性は、閉経前後から定期的に骨密度検査を受けることをお勧めします。

骨粗しょう症はこんな治療をします

①食事療法
骨を作るたんぱく質、骨を強くするカルシウム、骨形成に必要なビタミンDやKを積極的に摂りましょう。逆に、加工品に多く含まれ、カルシウムと結びついて排出されるリンやカフェインの摂り過ぎは避けましょう。
また、アルコールはカルシウムの吸収を阻害したり、排出量を増やすため、過度の飲酒は禁物です。
②運動療法
骨は、運動によって負荷がかかることで強くなります。また、運動によって筋肉が鍛えられると、体を支える力が増し、バランス感覚が良くなりますので、転倒を予防することができます。
激しい運動の必要はありませんが、ウォーキングやエアロビクスなど、ある程度の動きを伴った運動が効果的です。週に数回以上、長く続けることが大切です。
③薬物療法
食事療法や運動療法では充分な効果が得られないほど進行した場合は、薬物療法を行います。骨吸収を抑制する「骨吸収抑制剤」、骨形成を助ける「骨形成促進剤」、骨形成を助けるビタミンを補うためのビタミン剤などを、患者さんに合わせて組み合わせ、処方します。

50代からは定期的に骨密度測定を受けましょう

老夫婦

骨粗しょう症という病気の予防と治療は、高齢者の生活の質を保つために欠かせない対策です。閉経期以降の女性は特に要注意ですが、50代からは男女問わず、定期的に骨密度測定を受けましょう。骨粗しょう症は、整形外科専門医へご相談ください。