この記事の監修ドクター|岩井 良成先生(脳と神経のクリニック橋本)
怖い病気として知られる脳卒中を早期発見できる脳ドック。どんな検査なのでしょうか。
脳卒中は早期発見が大切!
脳卒中とは、脳の血管がつまる、あるいは破れるなどして、さまざまな症状が起こります。発作時の症状には、激しい頭痛、言葉が出ない、手足がうまく動かせない、ふらつくなどの症状があります。発作が重い場合には、意識の障害も起こり、命の危険も生じます。 脳卒中の怖さは、発作時の症状にとどまらず、命を取り留めても重い後遺症が起こることにもあります。体の半身の麻痺や知覚異常が起こったり、言葉や記憶などの高度な機能に障害が起こることもあります。脳卒中は患者さんの生活を大きく変えてしまう、とても怖い病気です。
脳卒中を早期発見?脳ドックで調べられること
脳卒中は大きな発作が起こる前に、脳の検査により、脳卒中発症の危険性をチェックし発症を未然に防ぐことができる可能性があります。脳の異常を専門に検査する健診を脳ドックと言います。
- 脳ドックはMRIで行います
- 頭部MRIにより検査を行います。強力な磁気の力で体の断面を画像化する機械です。よく似た検査機器にCTがありますが、CTは放射線を利用して体の内部を撮影するものです。MRIは放射線を使わず、被ばくの心配がない、安全な検査方法です。
- 脳ドックで調べられること
- 脳ドックでは、頭部MRI、頭蓋内脳血管、頚部内頸動脈を検査します。
脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、脳動脈瘤、脳血管奇形などの診断ができます。
隠れ脳梗塞や症状のない脳出血、脳血管・頚部の内頸動脈などの狭窄、脳動脈瘤・脳血管奇形などを見つけることにより、今後発生する可能性のある脳卒中を未然に防ぐ、または軽くすることが可能になります。
脳ドックはこんな人におすすめ!
- 40歳以上の人
- 高血圧の人
- 糖尿病の人
- 脂質異常症の人
- 肥満の人
- 狭心症や心筋梗塞の人
- 脳卒中になった家族がいる人
上記はいずれも、脳卒中リスクが高まる条件と考えられているものです。脳卒中には全く自覚症状が出ないもの、一時的な症状を繰り返すものもあります。そのような症状を放置して治療をせずにいると、いずれ大きな脳卒中発作を起こし、命に関わる可能性があります。
脳ドックでは、こうした小さな病変や異常も見逃さずにチェックできるので、条件に当てはまる人は、一度しっかりと検査することをおすすめします。
脳ドック当日の流れ
①当日受付に脳ドック受診を伝える
事前に受診日を予約が必要です。
②MRI問診票、脳ドック問診票を記入する
MRI検査を受けられない条件がないかどうかをチェックします。
③書類を確認後、MRI室へ
④検査着に着替えてMRI撮影
約20分かかります。
⑤検査着から着替えた後、結果の説明
当日に説明を受けるクリニックと、後日改めて受けるクリニックがあります。
⑥お会計後帰宅
後日脳ドックの結果を改めて郵送で受け取れます。
脳ドックが受けられない人もいます
MRIは強力な磁力を用いて検査をします。そのため、金属は持ち込めません。以下のようなものをご使用されている方は、脳ドックを受けられないことがあります。
- 心臓ペースメーカー、除細動器
- 人工内耳、人工中耳
- 頭部のシャント術、脳動脈瘤クリップ術を受けた方
- 内視鏡的手術、止血用クリップを使用している
- 1ヶ月以内に血管内ステント、血管内フィルターを挿入
- 脳深部刺激装置を使用
- 脊髄刺激装置を使用
- 眼球内に金属片がある
- 子宮避妊具を使用
- 磁石式義歯
また、微量ですが、磁力に反応してやけどを負うこともありますので、以下の物にも注意が必要です。
・入れ墨
・アートメイク
・コンタクトレンズ
・マスカラ
・アイシャドウ
他には妊娠の可能性がある場合も検査を受けられないことがあります。検査前に相談しましょう。
脳卒中が気になる人は脳ドックを受けましょう
脳ドックでは、他の検査ではわからない細かな病変も捉えることができます。脳卒中の予防には欠かすことのできないものです。気になる方は一度受診されると良いでしょう。脳ドックは受診できない条件もありますので、受診される施設にご相談ください。