最近もの忘れしませんか?認知症は早めの予防が大事!

最近もの忘れしませんか?認知症は早めの予防が大事!

「最近もの忘れが多くなったな」と思っていませんか。もの忘れというと認知症が浮かびますが、あなたの「もの忘れ」はどうでしょうか。

「もの忘れ」と認知症の違いは?

老夫婦

「もの忘れ(健忘症)」の特徴は、物忘れをしてしまったことを自覚していることにあり、最近もの忘れが多くなったと思う場合は、健忘症と言えるでしょう。認知症との違いで重要なのは、経験を喪失していないかどうか、という点になります。

印鑑などの大切なものをどこへしまったか忘れてしまうことは誰でもよくあることでしょう。もの忘れの場合は、どこかにしまったことは覚えています。ただ、しまった場所を忘れているに過ぎません。しかし、認知症はしまったこと自体を忘れてしまっています。そこで、なくしたとか、盗まれたという発想に結びついてしまうのです。このように、もの忘れの自覚がなく経験そのものが脳から喪失されるのが認知症です。

認知症の症状と種類

頭を押さえる老人

認知症と呼ばれるものの多くは次の3種類に分けることができます。

①アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも最も多くなっています。もの忘れから気付くことが多く、新しいことが記憶できない、思い出せない、時間や場所がわからなくなることなどが特徴です。また、物を盗られてしまった、という妄想や徘徊などの症状が出ることがあります。

アルツハイマー型認知症はアルツハイマー病が原因として認知症の症状が出ます。アルツハイマー病の原因は、ベータたんぱくやタウたんぱくという異常なたんぱく質が脳にたまって神経細胞が死んでしまい、脳が萎縮することです。記憶を担っている海馬という部分から萎縮が始まり、だんだんと脳全体に広がります。

また、アルツハイマー型認知症は、症状が起こる数年前という、比較的早い段階で診断が可能です。若年性の場合40歳代から発症することもあり、早く進行します。人や物の名前を忘れるなどの記憶障害から症状が始まりますが、その数年前から頑固になる、怒りっぽくなるなどの軽い人格の変化がおこることがあります。

②血管性認知症

血管性認知症は、脳梗塞などの脳血管障害の後遺症として発症する認知症です。脳血管に障害が起きると、その周りの神経細胞がダメージを受けます。血管性認知症に最も多いのは、脳梗塞を多発した方で、血管認知症の原因の7~8割を占めています。

突然の脳梗塞や脳出血が原因で急激に認知症が発症する場合と、小さな脳血管障害を頻繁に起こしているうちに、徐々に認知症が進む場合があります。障害のある脳の場所や程度によって、症状が異なります。そのため、できることとできないことが比較的はっきりとわかれていることが多いのが特徴です。

麻痺や言語障害が多くみられますが、手足の麻痺などの神経症状が起きることもあります。めまい、しびれ、言語障害、麻痺、知的能力の低下、判断力の低下などが症状として表れますが、発現にはムラがあります。また、記憶力の低下が強い場合でも、判断力や理解力などは問題なく保たれているなど、「まだら認知症」と呼ばれる場合もあります。

③レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症についで多く、認知症全体の2割を占めています。脳の神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質の塊がみられます。このレビー小体が大脳に広くに現れると、その結果、認知症になります。記憶障害が多いなど、アルツハイマー型認知症に似ている症状が現れますが、初期から「幻視」が多くみられることが特徴です。

発症は60歳以降のことが多いので、老年期の認知症と思われがちですが、稀に40歳代の発症もあります。患者の訴える幻視は、「知らない人が寝ている部屋に入ってきた」などというもので、本人には生々しくはっきりと見えています。また早期に診断ができれば症状の改善が期待できる疾患です。代表的な症状は、幻視の他に、人や物事に無反応になる、睡眠障害が出る、などになります。また、手の震えなどの体の症状が起きる事もあります。

認知症を予防する方法は?

野菜・果物

認知症は、病気などが原因で起きるものですから、認知症の予防の第一は、認知症を起こす病気の予防ということになります。血管性認知症は脳血流を整えて高血圧、糖尿病、高脂血症を注意し、バランスのとれた食事と適度な運動を行いましょう。

アルツハイマー型認知症についてはまだ原因がはっきりわかってはいません。ただ、精神活動を活発にすることで、神経細胞死を遅らせることができることということが、現在わかっています。ですから、いつまでも意欲を持ち活発に生活することが、アルツハイマー型認知症の予防につながるといえるでしょう。

現時点では残念ながら、「こうすれば認知症にならない」という絶対的な方法はありません。しかし最近の研究から「どうすれば認知症になりにくいか」ということが少しずつわかってきました。認知症を予防する対策は大きく分けて2種類で、
①認知症になりにくい生活習慣を心がける
②認知症で落ちる3つの能力を簡単なトレーニングで鍛える
となります。

①認知症になりにくい生活習慣を心がける

  • (食習慣)野菜・果物(ビタミンC、E、βカロチン)をよく食べる
  • (食習慣)魚(DHA、EPA)をよく食べる
  • (食習慣)赤ワイン(ポリフェノール)を飲む
  • (運動習慣)週3日以上の有酸素運動をする
  • (対人接触)人とよくお付き合いをする
  • (知的活動)文章を書く・読む
  • (知的活動)ゲームをする
  • (知的活動)博物館に行く
  • 30分未満の昼寝 起床後2時間以内に太陽の光を浴びる

といった日常生活を送ることを心がけましょう。

また、歯の多い人の方が認知症の症状が軽いという報告もあります。歯からの刺激は脳に直接届くので大切です。

②認知症で落ちる3つの能力を簡単なトレーニングで鍛える

認知症になる前段階の時期に最初に低下する認知機能が、「エピソード記憶、注意分割機能(複数の事を同時に行う時、適切に注意を配る機能)、計画力(新しいことをするとき、段取りを考えて実行する能力)」です。これらを意識して重点的に使い、その機能を鍛えることで認知機能の低下を予防します。具体的には、

  • (エピソ-ド記憶)2日遅れ、3日遅れの日記をつける
  • (注意分割機能)料理を作るときに、一度に何品か同時進行で作る
  • (計画力)効率の良い買い物の計画を立てる
  • (計画力)旅行や外出の計画を立てる

といったことを行ってみましょう。