気管食道科専門医

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呼吸や発声、食事といった領域を扱うスペシャリスト「気管食道科専門医」

咳が出る、そんな時どの診療科にかかりましょうか。食べ物が飲み込みにくいときは?小さな子どもがコインを飲み込んでしまったら?これらはすべて、気管食道科専門医の扱う疾患です。

気管食道科専門医という専門医は、あまり知られていないかもしれません。しかし、人が生きる上で欠かせない、呼吸や発声、食事といった領域を扱うスペシャリストです。気管食道科専門医について、詳しく見ていきましょう。

気道食道科専門医とは

気管食道科専門医は、口腔(口の中)から咽頭や喉頭(のど)、気管や肺、食道を診療する専門医です。これらの臓器は、呼吸や発声、食べ物の摂取や飲み下しと幅広い役割を負っています。

これらの臓器を診療する診療科としては、気管を扱う呼吸器科、食道を扱う消化器科、咽喉部を扱う耳鼻咽喉科などがあります。これらの診療科もそれぞれの臓器を専門的に診療することができます。

では、気管食道科専門医はなぜ必要とされるのでしょうか。口腔や咽頭喉頭、気管や肺、食道は、一続きや隣り合わせになっています。臓器相互に影響し合い、障害し合うことが多く、総合的な診療こそが、それぞれの臓器が協調して機能し、患者さんの生活の質の向上を手助けできるのです。

気管食道科専門医になるには、①医師として5年以上の実績、②基本領域の専門医、あるいは認定医であること、③気管食道科学会の研修施設で5年以上履修していること、④その上で決められた単位を取得していること、⑤学会の評議員の中から1名の推薦を得た上で学会の試験に合格していることが必要です。

気管食道科専門医が扱う疾患とその治療法について

気管食道科専門医が扱う病気には、咳や誤飲、飲み下しの問題である誤嚥や誤嚥障害、声帯の異常である声の変化、食道の異常である胃食道逆流症や逆流性食道炎、咽頭がんや気管支のがん、食道がんなどの悪性腫瘍も含まれます。

誤飲

誤飲は、誤って食べ物でない異物を飲み込んでしまうことを言います。誤飲したものが3㎝に満たない程度の小さなものである場合、多くは悪影響がなく、排便時に一緒に排出されるため、胃の洗浄や摘出も必要ありません。誤飲の80%は危険がなく、治療が要らないものと言われています。

しかし、大きなものである場合や、鋭いもの、とがったものである場合、食道や胃、腸などの消化管の途中で引っかかり、出血や閉塞の他、消化管に穴を開けるなどの危険な合併症が起こります。

また、誤飲したものが、洗剤などの有害物質である場合や、電池などである場合、有毒物質が溶け出すなどの危険もあり、緊急の治療が必要になります。

誤飲の治療は、主に内視鏡による摘出と、胃の洗浄が行われます。

誤嚥

誤飲と誤嚥は似ている言葉ですが、誤飲が食べ物や飲み物でない「異物」を飲み込んで、食道へ入れてしまうことに対して、誤嚥は、異物、飲食物問わず、気管へ入れてしまうことを指します。

症状も誤飲と似ているようですが、誤飲と違って、飲み込むための咽頭喉頭の働きが障害されている、飲み込むための力が弱い、飲み込んだものを通す食道の異常、などが原因となって起こる病気です。

誤嚥が起こる場合、通常なら空気以外の異物が気管に侵入した場合に起こる、せき込みやむせるという反射の反応が起こらないことが多く見られます。これは気管を保護する力が弱まっている状態で、治療が必要です。

これらのことから、誤嚥は神経や筋肉の問題を抱えており、これらの病気の初期であると考える必要もあります。また、どんな異物を誤嚥した場合でも、流入した量の多少にかかわらず、肺炎の危険が高まることも、誤嚥に治療が必要な大きな理由です。

誤嚥は、まず原因を探る検査から行われます。飲み下しの検査は、造影剤を使って行うものと、内視鏡を使って行うものがあります。前者は、造影剤を混ぜた検査色を食べ、食べているところをX線で透視して観察します。

後者は、これを経鼻内視鏡を用いて観察します。どちらも、気管へ入る誤嚥や咽頭喉頭に残留物がないかどうかを調べ、またその原因がどの部位にあるのかを調べて、治療の方針を決めるために役立ちます。

誤嚥の治療は、軽度の場合は、しっかり飲み込む、一度に口に入れる量を少なくする、水分にとろみをつけるなどの指導が行われます。誤嚥の程度が重くなると、誤嚥防止や嚥下機能の改善のための手術も適用されます。

嚥下障害

高齢者に多い障害で、誤嚥によって、上手に食べられないことから栄養低下が起こったり、誤嚥によって肺に細菌やウイルスが侵入して誤嚥性肺炎の危険が高まる状態です。

誤嚥同様、治療に先立って検査が行われます。精神を含めた全身の問題が原因となることが多いので、全身のチェックが欠かせません。治療は誤嚥と同様です。

急性の咳は、風邪の症状の1つとして出るものがほとんどですが、まれに、気胸や胸膜炎、肺血栓塞栓症などがあります。3週間以上続く咳は慢性とされ、アレルギーや副鼻腔気管支症候群が多く、まれに、肺炎や肺がん、肺結核があります。

流行によって、マイコプラズマや百日咳などによる咳が起こることもあります。他には、痰が出ないもの(乾性)と痰が出るもの(湿性)に分けることもあります。

咳の治療は、原因によって咳止めの効果の有無が分かれますので、それによって、咳止めの服用を決めます。アレルギー性の咳は、気管に炎症が起こっていますので、ステロイド薬を用いて抗炎症療法を行い、同時に、炎症によって狭くなってしまっている気管を広げるための気管支拡張薬の処方も行います。

気管食道科は生活に密着した臓器を扱います。早めの受診を!

気管食道科専門医では、咽頭や喉頭、声帯や気管、食道といった臓器を扱います。これらは、飲み下しという食べ物や栄養の摂取、発声や呼吸といった、人の生活に不可欠な、生活の質に大きく影響します。

これらの臓器に異常を感じたら、早めに治療を受けて、生活への影響をできるだけ減らしましょう。気管食道科専門医にかかるには、気管食道科や耳鼻咽喉科、消化器科、呼吸器科を受診しましょう。

気管食道科専門医のインタビュー

現在、気管食道科専門医に関するインタビューはありません。

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