心房細動は早期発見が大切!検査と治療

心房細動は早期発見が大切!検査と治療

この記事の監修ドクター|松下浩平先生(産業振興センター診療所)

心房細動は、脳梗塞の原因になる危険な不整脈です。どんな人がなりやすく、どんな検査や治療が行われるのでしょうか。

心房細動、こんな人は注意!

心房細動は脳梗塞の原因になる不整脈です

心房細動は、心房の電気信号が乱れて小刻みに心房が興奮するため、心房は震えるあるいはけいれんするように動くため、心房内の血流が滞ってしまう不整脈です。脈もとても速く乱れて打つことが多いです。心房細動は、発作的に起こることが多く、しばらくすると収まりますが、滞った血流で血栓ができやすく、脳梗塞の原因になることがあります。

心房細動はこんな人がなりやすい

高齢者
70歳代の5%、80歳代の10%ほどが心房細動を患っています。年齢とともに患者数は増えていきます。
高血圧の人
心臓に慢性的に負荷がかかり続けることになり、心臓の電気信号を伝える心房に異常が起こりやすくなります。。
心疾患を持っている人
心筋梗塞や狭心症を起こしたことがある人や心筋症を持っている人、心臓弁膜症の患者さんも要注意です。
糖尿病
糖尿病の患者さんは、糖尿病でない人と比べて、34%多く心房細動にかかりやすいという報告があります。また、心房細動の患者さんの20%ほどは糖尿病を合併しています。

その他にも、こんな人がかかりやすいことがわかっています。

  • 甲状腺機能亢進症の患者さん
  • 女性よりも男性に多い
  • ストレスや睡眠不足が続いたとき
  • 多量に飲酒をした後

心房細動はこんな検査をします

12誘導心電図

両手と両足に4か所、胸に6か所、合計10か所の電極を付けて、心電図をとります。検査中に心房細動が捉えられれば、そのまま診断となります。心房細動の場合は、細かな心房波が見られ、心室波も不規則に打ちます。数分で終わります。

ホルター心電図

小さな持ち歩きできる電極を、24時間、あるいは48時間付けて記録します。普段と同じ生活の中で、心拍数の変化や心房細動の発生の有無、症状との関連などを調べられます。電極は病院で装着し、そのまま帰宅します。生活は普段通りで、入浴もできるタイプもあります。心房細動が一過性に発生している場合には、短時間の12誘導心電図で異常が見られないこともあり、ホルター心電図は大切な検査です。

心エコー(心臓超音波)検査

超音波で心臓のそれぞれの部位の大きさや動き方、血液の量や血流の方向、血流のよどみ具合や逆流の有無を調べます。心房細動に影響を与える器質的心疾患の有無(心臓弁膜症や心筋症、虚血性心疾患など)と、心房の状態(収縮力の低下や拡大の有無など)がわかります。心臓がリアルタイムで動いている状態を見られる大切な検査です。30分程度かかります。

電気生理検査(心内心電図)

電極の付いた細い管(電極カテーテル)を、肩の下や足の付け根の静脈から心臓に挿入して行います。心臓から発生している電気信号を記録し、また、カテーテルの電極から電気信号を出して反応を調べる検査です。入院が必要となりますが、検査だけで終わることは現在では少なく、合わせてカテーテルアブレーションという手術もすることが多いです。

血液検査

心房細動の原因となりうる甲状腺機能の異常の有無や、薬を使うときに重要な腎機能や肝機能、また心不全の状態などを調べます。

心房細動の治療法とは

心房細動の治療法は、主に以下の4つです。

レートコントロール
心拍数をゆっくりにし、動悸症状の改善や頻拍誘発性心不全の予防をします。
リズムコントロール
抗不整脈薬などを服用して、普通の脈に戻し維持することを目的とします。
抗凝固薬
血液を固まりにくくする薬で、心臓内にできる血栓を予防することで、脳梗塞および全身塞栓症の発症を予防します。心房細動の診断を受けた人は、症状の強弱に関わらず脳梗塞の危険因子の程度により服用します。
カテーテルアブレーション
カテーテルを静脈から心臓に入れ、心房細動の原因となっている電気的興奮の異常発生箇所そのものをあるいはその周囲を隔離するために、焼灼あるいは凍結などを行います。

心房細動が心配な人は循環器専門医へ

デスクで悩んでいる男性

危険な不整脈である心房細動ですが、確かな診断が重要です。まずは、しっかりと検査をして診断を受け、不安になり過ぎないようにしましょう。どの検査が何を目的にしているのか?事前に知っておくと安心ですね。

検査の後は、充分な説明を受けて、必要な治療を知りましょう。脳梗塞の予防も重要な治療です。心房細動が心配な人は、循環器専門医を受診しましょう。