期外収縮と言われたら…危険かどうか?を知りましょう

期外収縮と言われたら…危険かどうか?を知りましょう

この記事の監修ドクター|松下浩平先生(産業振興センター診療所)

不整脈の1つである期外収縮。診断されてしまうと深刻になりがちですが、期外収縮には危険なものとそうでないものがあるのです。

期外収縮は一番頻度の多い不整脈です

期外収縮は、心臓の本来の電気信号の発生場所とは異なる所から電気信号が生じて、正常なタイミングよりも早く脈が打たれる不整脈です。とてもありふれた不整脈で、検査をすれば30歳以上のほとんどの人に見られる不整脈です。年齢とともに患者さんは増えていきますが、小学生でなることも珍しくない不整脈です。

期外収縮は、本来とは違う場所から電気信号が出てしまう不整脈ですが、この発生場所によって大きく2つに分類されます。心室の上部、心房との境目や心房で電気信号が生じるものを上室性期外収縮、心室で電気信号が生じるものを心室性期外収縮と呼びます。

上室性期外収縮は、心房との境目で電気信号が発生するものを房室接合部期外収縮、心房で電気信号が生じるものを心房性期外収縮と言います。いずれの期外収縮も、軽症から重症の幅が広く、重症のものは他の心疾患を伴うことが多く見られます。

期外収縮

  • 上室期外収縮:房室接合部期外収縮と心房期外収縮
  • 心室期外収縮

期外収縮には危険なものとそうでないものがあります

上室性期外収縮は、心房性期外収縮を含み、これは心房細動という危険な不整脈の発生のきっかけとなることがあります。一方、心室期外収縮は、心室頻拍や心室細動という危険な不整脈のきっかけになるになる可能性があり、慎重に診断を行います。特に器質的心疾患(虚血性心疾患や各種心筋症、臨床的に有意な心臓弁膜症など)がある場合には、より慎重な評価が必要です。

いずれの期外収縮も、症状が軽いものから重いものまでを含みますので、治療の必要性は生命に対する危険性の有無や、症状の出方や強さで決めていきます。例えば、運動によって期外収縮が増える場合は運動制限を行うこともありますが、運動によって期外収縮が減る場合は特に心配はありません。

また、一回のみの動悸でなく、繰り返す場合は治療が必要となることもあります。他にも自覚症状が強い場合は、危険性が高くなくても治療を行います。

治療が必要なときは…

危険な期外収縮ではないが、自覚症状が強い場合

薬物治療を行いますが、抗不整脈は初めはなるべく避けます。これは、副作用の可能性があるからで、処方する薬は、抗不安薬や自律神経を整える薬が主です。期外収縮を感じにくくしたり、ストレスに対処する目的で服用します。

運動によって期外収縮の回数が増える場合

運動制限を行うことがあります。また、飲酒や睡眠不足、精神的なストレスなどを避けて生活する工夫も必要になります。場合によりカテーテルアブレーションによる治療や抗不整脈薬を服用することがあります。

一時的な期外収縮ではなく連続する、あるいは繰り返す場合

危険な不整脈に移行する可能性などを評価して、場合によりカテーテルアブレーションによる治療や抗不整脈薬を服用することがあります。

他の疾患が見つかった場合

期外収縮の原因となっていることが考えられますので、まず、その疾患の治療を優先して行います。特に器質的心疾患がある場合には、より積極的な治療が必要になることが多いです。 。

自分の期外収縮の危険度をきちんと知りましょう

期外収縮と診断されて、びっくりしてしまい、深刻に考えてしまう患者さんは多く見られます。しかし、期外収縮は危険度の少ないものから高いものまで幅の広い不整脈です。自分の期外収縮がどの程度危険なものなのか、しっかり知って、不要な心配をなくしましょう。不整脈専門の循環器専門医を受診して、検査や医師の説明を十分に受けることが大切です。