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漢方専門医とは?~薬に頼らない治療~

漢方専門医をご存知でしょうか。漢方については認知度も高いと思いますが、漢方専門医は聴き慣れないことばですよね。

漢方は昔から日本に定着しており、ほとんどすべての薬局で市販薬として販売されています。あなたも風邪を引いた時などに一度は服用したことがあるのではないでしょうか。

そんな私たちの身近にある漢方ですが、それについての高度な知識を保有し、治療に役立てるのが漢方専門医です。漢方は、2003年から必修科目に取り入れられるなど、重要性が再認識されてきており、漢方専門医の需要も高まっています。

今回は漢方および漢方専門医について見ていきましょう。

漢方と「薬」の違い

漢方をご説明する前に、まずは生薬について知っていただかなくてはなりません。

生薬とは、草の根や葉、果物といった自然由来のもののなかで、身体に良い効果があるものを加工し服用するものです。例えば、ウコンには消化を助けたり肝臓の働きを活発にしたりする効果があると言われています。

漢方とは、これらの生薬が配合されたものです。そして、漢方は薬として医師が処方することもできます。したがって、厳密には一般的に「薬」と呼ばれる西洋薬と同じく、医薬品として扱われます(薬事申請していない漢方は、健康食品扱いとなります)。

それでは、漢方と一般的な「薬」との違いは何かと言うと、精製方法です。

漢方は先ほどご説明したとおり、天然由来の植物などを加工した生薬を組み合わせたものですが、実は多くの西洋薬も天然物から作られています。しかし、西洋薬を精製する際には、薬効を高めるために天然物から特定の成分を抽出します。

漢方は天然成分を組み合わせたもので、西洋薬はより人の手が加わったものだと言えるでしょう。

漢方専門医とは?

漢方専門医と聞くと、漢方のみを処方する医師だというイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、実際は医師のなかでも平均よりも高い水準の西洋薬への知識を持っており、西洋薬と漢方薬を適切に組み合わせた治療を行うことができます。

漢方専門医に認定されるためには、日本東洋医学会の認定試験に合格しなければなりません。その受験資格を得るための条件として、医師歴が6年以上かつ、他科の認定医もしくは専門医であること、日本東洋医学会が指定した施設で3年間の研修を修了する必要があります。また、漢方治療を施した事例を50症例と、10症例の臨床報告といった実績が求められます。

したがって漢方専門医とは、西洋医学(内科や外科など)の知識や実績を高い水準で満たしつつ、東洋医学を元にして漢方を処方できる医師なのです。

漢方専門医の対象疾患

漢方専門医の対象疾患は多岐に渡り、特定の診療科だけに在籍しているわけではありません。 整形外科医は整形外科、精神科医は精神科か心療内科などといった特定の科に所属するわけでなく、例えば内科や外科、産婦人科や精神科など、どの科にも所属しています。

そもそも、東洋医学は「身体全体の状態を良くすることで病気を治す」という考え方に基づいています。「特定の部位や内臓を治すと健康になる」という概念である西洋医学とは、患者の捉え方が大きく異なるのです。

東洋医学においての病気とは、患者の全身のバランスが崩れて自然治癒力では回復できない状を差します。例えば頭痛を訴える患者がいたとしても、頭部の病気を疑うのではなく、体質やメンタルの状態、血の流れなどといった全身の状態が悪いことが原因だ、と捉えます。

西洋医学には、病気の原因となる元の内臓や身体部位を直接治療するという効率性があります。一方で東洋医学には、病気に捉われず患者個人の全身を治療するという総合的な視点があります。どちらにもメリットやデメリットはありますが、そのなかで患者にとって最善な診療を選択できるのが漢方専門医なのです。

西洋医学の豊富な知識や経験と、東洋医学の視点を持ち合わせている漢方専門医は、どの科であっても高いレベルの診療を施せるスペシャリストです。

漢方専門医の治療法

漢方専門医の治療は、いわゆる現代医療である西洋医学と、漢方をベースにした東洋医学を組み合わせたものとなります。

例えば、盲腸(虫垂炎)などの急性疾患であればすぐに外科的な手術を行いますし、症状が落ち着いている糖尿病患者など慢性疾患には漢方薬を処方することもあるでしょう。もちろん、薬を処方する場合でも、西洋薬と漢方を組み合わせたり、必要であれば西洋薬のみで治療するケースも往々にしてあります。

漢方専門医は、患者の病気や身体状況に適したバランスで西洋医学と東洋医学を組み合わせ、治療を進めます。

漢方専門医はこんな人におすすめ

漢方専門医を受診するべき方は、現在通院しているが病気の改善が実感できていなかったり、薬(西洋薬)に頼らない治療を希望していたりする方でしょう。

西洋医学は世界的に主流と言えますが、性質的にどうしても局所的な診療になりがちです。しかし、東洋医学では先ほどからお伝えしているとおり、より大局的に身体全体をみます。したがって、西洋医学では見逃されていた治療箇所が、漢方専門医による東洋医学治療で改善されることは十分に考えられます。

薬に頼らない治療を希望する方にとっては、現在服用している薬を漢方薬に代替できることもあります。西洋薬は治療効果を追求する精製方法であるため、作用しやすい一方で副作用も強い傾向にあります。患者によっては副作用が強すぎることもあり、実際に減薬を検討している方も少なくありません。

もちろん、患者の体質や疾患などの状況も考慮した上での医師の判断となりますが、現在服用している西洋薬を漢方に置き換えるほうが、身体の負担が少なかったりより良い効果を得られたりすることも考えられるでしょう。

漢方専門医は全国の病院やクリニックなど多くの医療機関に在籍しています。また、内科や外科などの一般的な診療科や、精神科やメンタルクリニックといった心の不調まで診療することができます。もし受診予定の診療科があったり、現在通院していて上記に当てはまったりする方は、一度漢方専門医を受診してみてはいかがでしょうか。