高血圧専門医とは?あらゆる疾患を診療できる万能タイプの医師
高血圧専門医という医師がいるのはご存知でしょうか。その名のとおり、高血圧について高度な診断ができる医師が、高血圧専門医です。
高血圧専門医は、高血圧だけでなく高血圧を引き起こす疾患や、高血圧が元となって起こる病気、高血圧にまつわる合併症など、あらゆる疾患に対応することができます。今回は、そんな万能タイプともいえる高血圧専門医についてご説明します。
高血圧専門医とは?
高血圧専門医についてはあまり知られておらず、初めてその名を耳にした方もいるのではないでしょうか。「高血圧専門医とはそもそもどんな医師なのか」について見ていきましょう。
高血圧専門医とは、高血圧学会が認定する専門医です。高血圧に悩まされる方は、全国に約4300万人いるとされており、もはや国民病といっても差し支えない規模の患者数がいるのが現状です。
現代では生活習慣病が社会問題としてテレビなどでも取り上げられています。高血圧は、脂質異常症や糖尿病などと並び、生活習慣病のうちの一つの症状です。
高血圧とは病気の名前ではなく、「血圧が高い」という状態や、その症状を意味します。例えば、ストレスを抱えることでも高血圧となりますし、腎臓の疾患が揺らいで血圧が高くなるなど、元となる何かしらの原因があって高血圧症状が表面化することがあります。一方で、高血圧症状が続くことで引き起こされる脳出血や心血管疾患などもあるのです。
高血圧専門医は、高血圧の原因となる疾患だけでなく、高血圧が原因となる疾患、さらに高血圧そのものに対しても対処できる医師です。つまり、高血圧にまつわる全ての疾患を治療できるほどの幅広い知識と高度な技術を持ち合わせた、総合力の高い専門医と言えるでしょう。
高血圧専門医はどんな医師?
高血圧専門医は高血圧という症状を元に、さまざまな視野を持って疾患を診断し、治療できる医師といえます。「高血圧専門医はどんな医師なのか」について詳しく把握するために、高血圧学会が専門医の医師像を提示しています。それを元に、高血圧専門医のイメージを掴んでみましょう。
①「治療抵抗性高血圧」の患者は、循環器や腎機能、脳卒中などさまざまな疾患が原因で引き起こされます。そのため、一般的な医師や特定の診療科の専門医では治療が困難であるケースが多いものです。高血圧性専門医は、高血圧を引き起こす原因となるあらゆる疾患の知識を活かして治療します。
②高血圧に対して高度な知識が必要となる「二次性高血圧」を治療します。
③自覚のない方への高血圧への気付きや、発症でのリスク、予防の大切さなどを伝えたり、多数の方に啓蒙活動を行ったりする活動をとおし、国民全体の健康状態を向上させることを目指します。
④あらゆる診療科を横断できる知識や、総合的に治療できる技術を維持するために、専門医取得後も勉強を継続していきます。
これら4項目を兼ね合わせているのが、高血圧専門医の医師像となります。高度な高血圧治療だけでなく、生活習慣病などの慢性的な疾患や症状を改善するための指導など、その活動範囲が多岐に渡るのが高血圧専門医の特徴です。
高血圧専門医が診断・治療できる疾患とは
高血圧専門医が診断・治療できる疾患は幅広く、高血圧にかかわる内科や外科、循環器、内分泌系、脳卒中といったように横断的です。実際に、高血圧専門医に認定されるための受験資格では、糖尿病や脂質異常症、脳血管障害、虚血性心疾患、心不全、腎障害について、それぞれ2症例ずつの治療実績が求められます。
高血圧専門医が診療できる疾患について、大きく2つに分類して説明していきます。
①生活習慣病が原因となる高血圧
生活習慣病は内科や生活習慣病内科、高血圧内科などが対応する診療科となります。しかし、生活習慣病は、脂質異常症などの代謝異常や糖尿病を併発していたり、血液検査などの数値上では判別できないような小さな疾患が隠れていたりなど、患者それぞれの抱えている原因に大きな差があります。
そのため、高血圧治療を施しても改善がみられないケースも少なくありません。しかし、高血圧専門医は、高血圧学会が認定している病院で3年間の研修カリキュラムを修了しており、そこでの生活習慣病の治療実績を保有しています。
一般的な水準の医師では行えないような、その人特有の生活習慣病の原因を診断し、最適な治療を選択したり、的確な生活上でのアドバイスを行うことができます。
②二次的高血圧
二次的高血圧とは、何かしらの高血圧を引き起こす原因が明確にある高血圧のことです。つまり、原因を取り除くことで高血圧が改善することになります。
二次性高血圧では、高血圧の症状の特徴を正確に捉えて診断する能力が必要です。その上で最適な降圧剤の選択や、原因となる疾患を直接治療したり、他診療科へ引き継いだりする判断力が求められます。
二次性高血圧には、主に腎実質性高血圧や腎血管性高血圧など腎臓由来の高血圧症状や、褐色細胞腫といった副腎髄質に原因がある高血圧などが挙げられます。また、妊娠高血圧や高血圧緊急症などの救急治療を要するものもあります。
妊娠高血圧や高血圧緊急症などの二次的高血圧は、命にかかわる重篤な高血圧症状であることから、高血圧専門医が必ず治療することになっています。
高血圧専門医はセカンドオピニオン先としても
高血圧専門医は、横断的かつ総合的な知識や経験のある医師です。高血圧にまつわる疾患やその他の症状について、幅広く深い知識を元に診療する能力があります。
そのため、「今お世話になっている病院では心配」「治療しているけどなかなか血圧が下がらない」といった方のセカンドオピニオン先として、高血圧専門医の在籍する施設は最適な選択肢となります。
一般病院の内科では見逃してしまっている高血圧の原因や、特定の診療科では治療できない病気が元となって、高血圧が改善しないことも起こり得ます。そのような場合、高血圧専門医のいる医院でセカンドオピニオンを行うことで、高血圧の原因が明確に分かったり、的確な治療法が見つかったりする可能性が大幅に高くなることでしょう。
高血圧専門医は、高血圧だけでなく高血圧に関係する全ての疾患や症状のエキスパートです。もし高血圧でお困りであれば、高血圧専門医に頼るのが最善と言えるでしょう。