こどもの胸からお尻までの専門家!小児外科専門医とは?
小児外科専門医をご存知でしょうか?
小児外科専門医とは、発育途上であるこどもの健康を守るために、小児特有の疾患を診療する医師です。小児の身体は、ただ大人の身体をミニチュア化したものではなく、成長過程までをも見越した処置が必要です。
特に手術が必要となるような小児の疾患においては、こどもの身体についての高度な知識や経験を持つ小児外科専門医に任せるべきでしょう。今回は、小児外科専門医の概要や、小児外科専門医が治療できる疾患などについて解説します。
小児外科専門医とは
小児外科専門医とは、日本小児外科学会に認定された医師です。小児特有の難病や小児外科疾患すべてに対応できる専門的な知識と高い診療スキルを兼ね備える、小児医療のエキスパートです。
小児とは0歳の新生児から思春期に差し掛かる15歳までの年齢と定義されています。かつては外科のなかの小児部門として派生しましたが、現在では小児外科として独立した診療科となっています。つまり、生まれたばかりの赤ちゃんから、身体が大人になるまでの発達段階で必要となる外科的な治療を行うのが、小児外科専門医ということです。
小児外科専門医に認定されるためには、7年以上の外科医としての経験や、日本外科学会の認定医もしくは専門医であること、新生児や乳幼児などの小児外科手術を数百件以上行うといった実績などが求められます。さらに、研究論文を発表していたり、認定施設での臨床研修を3年以上経たりなどといった条件をクリアし、認定試験に合格して初めて小児外科専門医に認定されるのです。
外科専門医そのものが外科診療のエキスパートです。その上で、小児外科の症例を数多く経験し、研究や研修を経た上で小児外科疾患を治療するスキルを持つのが、小児外科専門医です。
小児外科専門医ってどんな医師?
日本小児外科学会が定めている小児外科専門医の定義は、「子どもを安心して預けることができる外科医」です。
この定義を達成するためには、小児の身体の仕組みや構造を熟知していなければなりません。小児は、大人の身体と比べると臓器や消化器などの作りが未成熟であり、免疫力も低いものです。また、小児にしかみられないような難病や生まれつきの疾患はたくさんあります。
小児に対する外科的な診療をするためには、一般外科とはまったく違ったスキルが求められます。特に新生児や乳幼児に対する手術は、とても細かいスキルやテクニックが必要です。それだけでなく、体力や抵抗力などにも配慮することも重要であり、大人への施術とは異なった知識や経験が必要です。
また、小児とひとことで言っても、その年齢範囲は0歳~15歳と幅広いものです。そのため、成長過程にともなって身体の内部が変わっていくことにも対応する能力が求められます。第一次性徴や第二次性徴、学童期から思春期など、身体の変化が大きい時期なども考慮しながら治療方針や方法を柔軟に変えていく判断力も求められます。
小児疾患の症状は一人ひとりの個人差がとても大きく、一人の専門医では対処しきれないケースがあるのも事実です。そのため、設備や人員の多い施設へ送って治療を任せるといった判断も時には必要となります。
小児外科専門医は、上記でご説明したすべての能力を兼ね備えている医師です。「小児外科専門医ってどんな医師?」といった疑問にお答えするならば、以下のとおりとなるでしょう。
- ・小児の身体についての生理・解剖や、病理についての知識を習得している
- ・小児特有の難病や先天性疾患の診断・治療実績を豊富に持っている
- ・小さい臓器や消化器官の手術に必要となる繊細なテクニックを得ている
- ・身体の成長に合わせて治療方針や方法を変えられる判断力がある
- ・必要時には他の病院や施設へ送るなど、最適な治療方法を選択できる
また、小児外科専門医は、学童期に入院するこどもと触れ合う機会も多いことから、教育者としての振る舞いができるような研修を受けています。こどもの身体を外科的に治療するだけでなく、「成長をサポートできるような大人であろう」と心掛けているのが、小児外科専門医なのです。
小児外科専門医が治療できる疾患
小児外科専門医の対応する疾患の範囲はとても広いものです。脳・心臓・整形疾患を除くすべての疾患に対応しています。その対象範囲の広さは、「胸からお尻まで」と言われるほどです。
そのため、「小児外科専門医が治療できる疾患はこれだ」と一概に言えないほど、疾患の種類も多岐に渡ります。小児外科疾患で代表的なものは、鼠経ヘルニアや漏斗胸などが挙げられますが、その他にも多数の疾患があります。小児外科専門医が主に診断・治療する疾患については、以下のとおりです。
- ・頭頸部:頭頸腫瘤、頸部瘻孔、リンパ管腫など
- ・胸部:先天性気管狭窄症、漏斗胸、肺分画症、縦隔腫瘍など
- ・腹部:鼠経ヘルニア、臍ヘルニア、腹壁破裂など
- ・消化管:先天性食道閉鎖症、食道アカラジア、虫垂炎、突発性便秘症、原発性腹膜炎、壊死性腸炎など
- ・肝胆膵:胆道閉鎖症、門脈圧亢進症、肝腫瘍、膵腫瘍など
- ・泌尿器・生殖器:水腎症、尿管狭窄症、停留精巣など
- ・腫瘍:奇形腫、神経芽腫、腎芽腫、横紋筋肉腫など
小児外科専門医はどこにいるの?受診するためには
小児外科専門医を受診するのは、やや難易度が高いと言えるかもしれません。なぜなら、小児外科専門医の数が少なく、地域によっての偏りも大きいからです。
小児外科専門医は、平成24年8月の時点で全国に582名しかおらず、地域によっては専門医が数名しかいないところもあります。小児外科治療を必要とするこどもの数はたくさんいるため、需要に対して供給が追い付いていない状況です。
小児外科専門医を受診するためには、はやめに予約をとることが必須でしょう。特に人気の医師にかかるためには、できるだけ早い時期に予約をしておくことが大切です。
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